神経線維腫症1型に合併した緊張性血胸と多発動脈出血;緊急手術と経皮的動脈塞栓術により救命し得た一例

症例は32歳男性.突然の左胸部痛を自覚し,救急搬送された.既往として1歳時に神経線維腫症1型の診断がある.胸部CTで左緊張性血胸を認め,ショック状態であったため緊急で開胸止血を施行した.左鎖骨下動脈近傍から胸腔内へ動脈性出血を認めた.血管組織が非常に脆弱で,止血に難渋したためガーゼパッキングで圧迫止血を行い,経皮的動脈造影を行った.内胸動脈からの出血を認め,同部位を塞栓し止血した.良好な経過で回復していたが,第12病日に左頸部痛と同部位の膨隆が急激に発症した.頸部血管からの再出血が疑われたため緊急で経皮的動脈造影を行うと左椎骨動脈と左甲状頸動脈から出血を認めた.同部位の経皮的動脈塞栓術を行い,...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 37; no. 4; pp. 198 - 204
Main Authors 大迫, 隆敏, 福田, 章浩, 多久和, 輝尚
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本呼吸器外科学会 15.05.2023
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.37.198

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Summary:症例は32歳男性.突然の左胸部痛を自覚し,救急搬送された.既往として1歳時に神経線維腫症1型の診断がある.胸部CTで左緊張性血胸を認め,ショック状態であったため緊急で開胸止血を施行した.左鎖骨下動脈近傍から胸腔内へ動脈性出血を認めた.血管組織が非常に脆弱で,止血に難渋したためガーゼパッキングで圧迫止血を行い,経皮的動脈造影を行った.内胸動脈からの出血を認め,同部位を塞栓し止血した.良好な経過で回復していたが,第12病日に左頸部痛と同部位の膨隆が急激に発症した.頸部血管からの再出血が疑われたため緊急で経皮的動脈造影を行うと左椎骨動脈と左甲状頸動脈から出血を認めた.同部位の経皮的動脈塞栓術を行い,止血した.神経線維腫症1型の血管組織脆弱性とそれに伴う動脈出血の合併は稀ではあるが,過去にも報告されており,迅速な対応,治療介入を行うことが重要である.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.37.198