逆行性空腸十二指腸重積を合併した横行結腸間膜ヘルニアの1例

横行結腸間膜ヘルニアは頻度の少ない内ヘルニアとして知られている.今回われわれは,横行結腸間膜ヘルニアに逆行性腸重積を合併した希少な症例を経験したため文献的考察を加えて報告する.患者は手術歴のない60歳の男性,上腹部痛と頻回の嘔吐を主訴に来院した.CT画像では横行結腸背側へ空腸が脱出し,一部が十二指腸に逆行性に重積している像を認めた.逆行性腸重積を合併した空腸の内ヘルニアを疑い,緊急開腹術を施行した.術中所見では,最も口側の20cm程度の空腸が十二指腸空腸窩に形成されたヘルニア門より横行結腸間膜内に陥入し嵌頓している像が確認された.ヘルニアと重積は用手的に解除され,脱出腸管に虚血は認めなかった....

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 76; no. 8; pp. 1923 - 1927
Main Authors 金村, 剛志, 中場, 寛行, 大久保, 聡, 野呂, 浩史, 吉川, 浩之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2015
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.76.1923

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Summary:横行結腸間膜ヘルニアは頻度の少ない内ヘルニアとして知られている.今回われわれは,横行結腸間膜ヘルニアに逆行性腸重積を合併した希少な症例を経験したため文献的考察を加えて報告する.患者は手術歴のない60歳の男性,上腹部痛と頻回の嘔吐を主訴に来院した.CT画像では横行結腸背側へ空腸が脱出し,一部が十二指腸に逆行性に重積している像を認めた.逆行性腸重積を合併した空腸の内ヘルニアを疑い,緊急開腹術を施行した.術中所見では,最も口側の20cm程度の空腸が十二指腸空腸窩に形成されたヘルニア門より横行結腸間膜内に陥入し嵌頓している像が確認された.ヘルニアと重積は用手的に解除され,脱出腸管に虚血は認めなかった.逆行性重積を起こし得る既知の要因は認めず,何らかの未知の機序で横行結腸間膜内に嵌頓した空腸が十二指腸内に重積していたものと考えられた.ヘルニア門を縫縮して手術を終了し,良好な術後経過を得ることができた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.76.1923