Paraduodenal hernia type腸回転異常症を伴う上行結腸癌の1例

症例は54歳の女性.近親者の大腸癌罹患による不安から近医を受診した.大腸内視鏡検査は挿入困難であった.注腸検査で上行結腸癌を疑われ精査加療目的に当院へ紹介となった.ダブルバルーン内視鏡検査で上行結腸癌と診断された.3D-CT angiographyではSMV rotation signを認め,腸回転異常症を伴う上行結腸癌の診断で開腹回盲部切除術を施行した.手術所見では,上行結腸は後腹膜に固定されておらず,小腸は十二指腸尾側より肝下面に内ヘルニアをきたし,paraduodenal hernia typeの腸回転異常症と診断された.郭清は回結腸動脈を根部で切離してD3とした.内ヘルニアの小腸は右上...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 77; no. 9; pp. 2247 - 2252
Main Authors 堀江, 久永, 巷野, 佳彦, 鯉沼, 広治, 森本, 光昭, 佐田, 尚宏, 木村, 有希
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2016
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.77.2247

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Summary:症例は54歳の女性.近親者の大腸癌罹患による不安から近医を受診した.大腸内視鏡検査は挿入困難であった.注腸検査で上行結腸癌を疑われ精査加療目的に当院へ紹介となった.ダブルバルーン内視鏡検査で上行結腸癌と診断された.3D-CT angiographyではSMV rotation signを認め,腸回転異常症を伴う上行結腸癌の診断で開腹回盲部切除術を施行した.手術所見では,上行結腸は後腹膜に固定されておらず,小腸は十二指腸尾側より肝下面に内ヘルニアをきたし,paraduodenal hernia typeの腸回転異常症と診断された.郭清は回結腸動脈を根部で切離してD3とした.内ヘルニアの小腸は右上腹部で後腹膜に強固に癒着しており,これまで無症状であったことから整復は行わなかった.内ヘルニアを伴う腸回転異常症に併存する大腸癌は稀であり,文献的考察を含めて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.77.2247