所属リンパ節内に卵管内膜組織を認めた回腸子宮内膜症の1例

腸管子宮内膜症は,S状結腸や直腸発生が主であり小腸発生は稀である.今回,繰り返す腸閉塞症状に対して精査し回腸末端の狭窄を認めたため手術となった症例で,所属リンパ節内に卵管内膜組織を認めた回腸子宮内膜症の症例を経験した.症例は50歳,女性.数カ月前より腸閉塞を発症し,精査するも原因不明であったが腸閉塞が再燃したため入院となった.腹部CT検査にて,回腸末端に腫瘤を疑う所見および拡張した小腸を認めたものの,確定診断には至らなかったため試験開腹術を施行した.手術時回腸末端漿膜に引きつれおよび硬結を認め回盲部切除術を施行した.摘出標本の病理所見では,回腸の漿膜下層から粘膜下層に立方ないし円柱上皮からなる...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 76; no. 9; pp. 2220 - 2224
Main Authors 芹澤, 朗子, 松下, 典正, 窪田, 猛, 須藤, 泰裕, 井上, 達夫, 永田, 耕治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2015
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.76.2220

Cover

More Information
Summary:腸管子宮内膜症は,S状結腸や直腸発生が主であり小腸発生は稀である.今回,繰り返す腸閉塞症状に対して精査し回腸末端の狭窄を認めたため手術となった症例で,所属リンパ節内に卵管内膜組織を認めた回腸子宮内膜症の症例を経験した.症例は50歳,女性.数カ月前より腸閉塞を発症し,精査するも原因不明であったが腸閉塞が再燃したため入院となった.腹部CT検査にて,回腸末端に腫瘤を疑う所見および拡張した小腸を認めたものの,確定診断には至らなかったため試験開腹術を施行した.手術時回腸末端漿膜に引きつれおよび硬結を認め回盲部切除術を施行した.摘出標本の病理所見では,回腸の漿膜下層から粘膜下層に立方ないし円柱上皮からなる大小の腺管と,腺管周囲に紡錘形細胞からなる間質組織を認めた.所属リンパ節内にも立方上皮からなる腺管組織を認め,所属リンパ節内に異所性卵管内膜組織病変を伴った回腸子宮内膜症による腸閉塞と最終診断された.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.76.2220