Meckel憩室が嵌頓した大腿ヘルニアの1例

症例は74歳の女性.3日前からの左鼠径部の膨隆を主訴に当科を受診した.診察上左鼠径靱帯の尾側に可動性不良の径約3cmの皮下腫瘤を触知した.腹部CT検査では左大腿動脈の内側に低濃度の腫瘤様構造物を認めたが,小腸拡張などの通過障害の所見を認めなかった.卵巣あるいは卵巣嚢腫を内容物とする大腿ヘルニア嵌頓を疑ったが,発症から時間が経っており,炎症反応,消化管通過障害や血行障害の所見を認めないため1週間後待機手術を施行した.手術所見ではヘルニア嚢を大腿輪から還納して切開すると回盲部から約50cmの回腸壁から嚢状に突出した憩室がヘルニア内容となっており,Meckel憩室による大腿ヘルニア嵌頓と診断した.憩...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 75; no. 8; pp. 2355 - 2359
Main Authors 松原, 久裕, 間宮, 俊太, 斉藤, 洋茂
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2014
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.75.2355

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Summary:症例は74歳の女性.3日前からの左鼠径部の膨隆を主訴に当科を受診した.診察上左鼠径靱帯の尾側に可動性不良の径約3cmの皮下腫瘤を触知した.腹部CT検査では左大腿動脈の内側に低濃度の腫瘤様構造物を認めたが,小腸拡張などの通過障害の所見を認めなかった.卵巣あるいは卵巣嚢腫を内容物とする大腿ヘルニア嵌頓を疑ったが,発症から時間が経っており,炎症反応,消化管通過障害や血行障害の所見を認めないため1週間後待機手術を施行した.手術所見ではヘルニア嚢を大腿輪から還納して切開すると回盲部から約50cmの回腸壁から嚢状に突出した憩室がヘルニア内容となっており,Meckel憩室による大腿ヘルニア嵌頓と診断した.憩室部分を楔状切除した後,ヘルニア根治術を施行した.Meckel憩室を内容とするLittréヘルニアはまれではあるが大腿ヘルニアを含む鼠径部のヘルニアの原因として念頭に置く必要があると考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.75.2355