腹腔鏡下縦隔ドレナージを施行した特発性食道破裂の1例
症例は76歳,男性.吐血を主訴に受診した.受診時CT検査で胸部下部食道周囲および下縦隔にfree airを認め,特発性食道破裂の診断となった.発症早期でfree airが限局していたことから,緊急で腹腔鏡下縦隔ドレナージ,縫合術を施行した.6portで手術を行い,腹水などは認めず,横隔膜を切開して下縦隔を開放すると胸部下部食道に2cmほどの瘻孔を認め,穿孔部と考えられた.洗浄後,穿孔部周囲をトリミングした後,3-0吸収糸で穿孔部を全層一層で縫合閉鎖した.リークテスト陰性を確認し,左横隔膜下および食道縫合部にドレーンを留置し手術終了とした.術後13日目に胃管造影で縫合不全のないことを確認し飲水開...
Saved in:
Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 80; no. 8; pp. 1465 - 1469 |
---|---|
Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2019
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.80.1465 |
Cover
Summary: | 症例は76歳,男性.吐血を主訴に受診した.受診時CT検査で胸部下部食道周囲および下縦隔にfree airを認め,特発性食道破裂の診断となった.発症早期でfree airが限局していたことから,緊急で腹腔鏡下縦隔ドレナージ,縫合術を施行した.6portで手術を行い,腹水などは認めず,横隔膜を切開して下縦隔を開放すると胸部下部食道に2cmほどの瘻孔を認め,穿孔部と考えられた.洗浄後,穿孔部周囲をトリミングした後,3-0吸収糸で穿孔部を全層一層で縫合閉鎖した.リークテスト陰性を確認し,左横隔膜下および食道縫合部にドレーンを留置し手術終了とした.術後13日目に胃管造影で縫合不全のないことを確認し飲水開始,ドレーンは順次抜去し,術後24日目に退院とした.今回,われわれは特発性食道破裂に対して早期の腹腔鏡下縦隔ドレナージと食道縫合術を行い良好な術後経過を得られた1例を経験したため,若干の文献的考察を加え報告する. |
---|---|
ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.80.1465 |