卵黄動静脈を病理組織学的に証明し得たMesodiverticular Bandに起因する腸閉塞の1例

卵黄血管遺残から形成されたmesodiverticular band(以下,MB)により腸閉塞をきたした極めてまれな1例を経験したので報告する。症例は78歳の男性で,突然の嘔気と上腹部痛を主訴に当院に救急搬送された。腹部CT検査で回腸のcaliber changeを認め,腸閉塞と診断した。イレウス管による減圧を開始したが,腸閉塞解除に至らず,待機的に手術を施行した。開腹すると回腸末端より約40cm口側にMeckel憩室を認め,小腸腸間膜前葉から憩室先端を架橋する索状物により回腸末端が内ヘルニアを呈していた。索状物の病理組織では卵黄動静脈が証明されMBと診断した。腸間膜起始部の特定がなされ,且つ...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 39; no. 3; pp. 617 - 620
Main Authors 上月, 章史, 山崎, 伸明, 三村, 和哉, 今井, 幸弘, 久野, 晃路, 高瀬, 信尚, 藤澤, 俊介, 金田, 邦彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.03.2019
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.39.617

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Summary:卵黄血管遺残から形成されたmesodiverticular band(以下,MB)により腸閉塞をきたした極めてまれな1例を経験したので報告する。症例は78歳の男性で,突然の嘔気と上腹部痛を主訴に当院に救急搬送された。腹部CT検査で回腸のcaliber changeを認め,腸閉塞と診断した。イレウス管による減圧を開始したが,腸閉塞解除に至らず,待機的に手術を施行した。開腹すると回腸末端より約40cm口側にMeckel憩室を認め,小腸腸間膜前葉から憩室先端を架橋する索状物により回腸末端が内ヘルニアを呈していた。索状物の病理組織では卵黄動静脈が証明されMBと診断した。腸間膜起始部の特定がなされ,且つ病理組織学的に卵黄動静脈が証明されたMBに起因する腸閉塞の報告例は極めてまれである。腹部手術歴を有さない腸閉塞症例においては本疾患の可能性も念頭に置くべきである。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.39.617