虫垂による絞扼性イレウスの1例

症例は50歳の女性。腹痛と嘔吐を認め,当院を受診していたが,当初は胃炎と診断されていた。同日夜間に嘔吐を繰り返すようになったため,当院を再診し経過観察入院となり,翌日イレウスの診断で当科へ紹介となった。上腹部の圧痛と,高度の炎症反応を認め,腹痛は経時的に増悪していたため,絞扼性イレウスを疑い,緊急手術を行った。開腹すると,虫垂の先端がループ状に回腸間膜に癒着しており,バウヒン弁から10cm口側の回腸係蹄が,10cmにわたって絞扼されていた。絞扼を解除すると,腸管の血流が改善したため,腸切除は行わず,虫垂切除術を施行した。虫垂の先端の癒着部は,病理組織学的にカタル性の急性虫垂炎と診断された。絞扼...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 34; no. 1; pp. 143 - 146
Main Authors 和田, 英雄, 吉田, 一也, 藤井, 敏之, 竹重, 元寛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2014
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.34.143

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Summary:症例は50歳の女性。腹痛と嘔吐を認め,当院を受診していたが,当初は胃炎と診断されていた。同日夜間に嘔吐を繰り返すようになったため,当院を再診し経過観察入院となり,翌日イレウスの診断で当科へ紹介となった。上腹部の圧痛と,高度の炎症反応を認め,腹痛は経時的に増悪していたため,絞扼性イレウスを疑い,緊急手術を行った。開腹すると,虫垂の先端がループ状に回腸間膜に癒着しており,バウヒン弁から10cm口側の回腸係蹄が,10cmにわたって絞扼されていた。絞扼を解除すると,腸管の血流が改善したため,腸切除は行わず,虫垂切除術を施行した。虫垂の先端の癒着部は,病理組織学的にカタル性の急性虫垂炎と診断された。絞扼性イレウスは,外科医であれば臨床の現場でしばしば遭遇する疾患であるが,虫垂自体が絞扼帯になることはまれであるため,若干の文献的考察を加えて報告する。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.34.143