食道癌に対する胸骨後経路胃管再建術後の冠動脈バイパス術併施大動脈弁置換術の1例

食道癌術後の胸骨後経路胃管を有した冠動脈1枝病変および大動脈弁狭窄症に対して冠動脈バイパス術併施大動脈弁置換術を施行した.症例は80歳男性で,食道癌に対する胸骨後経路胃管再建による根治術の既往を有していた.下腿浮腫出現のため精査を行ったところ,冠動脈1枝病変および大動脈弁狭窄症と診断され,手術適応との判断より当科を紹介された.手術は上腹部小開腹で胃管を同定し,胸骨裏面から胃管を慎重に剥離し胸骨正中切開した.胸骨左側とともに胃管を左側に展開し良好な視野でCABG1枝バイパス(Ao-SVG-RCA#4PD)およびAVR(MAGNA 21 mm)を施行した.術後,呼吸循環の回復に時間を要し尿路感染症...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 43; no. 2; pp. 67 - 71
Main Authors 盛島, 裕次, 阿部, 陛之, 山里, 隆浩, 久貝, 忠男, 摩文仁, 克人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 2014
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ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.43.67

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Summary:食道癌術後の胸骨後経路胃管を有した冠動脈1枝病変および大動脈弁狭窄症に対して冠動脈バイパス術併施大動脈弁置換術を施行した.症例は80歳男性で,食道癌に対する胸骨後経路胃管再建による根治術の既往を有していた.下腿浮腫出現のため精査を行ったところ,冠動脈1枝病変および大動脈弁狭窄症と診断され,手術適応との判断より当科を紹介された.手術は上腹部小開腹で胃管を同定し,胸骨裏面から胃管を慎重に剥離し胸骨正中切開した.胸骨左側とともに胃管を左側に展開し良好な視野でCABG1枝バイパス(Ao-SVG-RCA#4PD)およびAVR(MAGNA 21 mm)を施行した.術後,呼吸循環の回復に時間を要し尿路感染症を併発したが軽快し第40病日に退院した.食道癌に対する根治術後胸骨後経路再建導管を有する症例における心臓手術ではアプローチ法に工夫を要するが,今回われわれは胸骨正中切開アプローチで手術を行い良好な結果であった.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.43.67