鼠径ヘルニアLichtenstein法術後に生じた腹直筋鞘血腫の1例

症例は73歳,男性.胸腹部大動脈瘤に対しステントグラフト内挿術を施行され,心房細動の既往があるためワルファリンカリウムを内服していた.右鼠径部の膨隆を主訴に受診し,右鼠径ヘルニアと診断され,術前ヘパリン化の後,Lichtenstein法を行った.術後1日目よりヘパリン投与を再開したところ,2日目に創部頭側皮下の腫脹が著明になり,ヘモグロビンおよび血小板の減少を認めた.造影CT検査で腹直筋鞘血腫(rectus sheath hematoma)と造影剤の漏出所見を認めた.保存的加療は困難と判断し,血管造影検査を行ったところ,右深腸骨回旋動脈からの出血所見を認め,NBCA-Lipiodolによる動脈...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 79; no. 2; pp. 431 - 434
Main Authors 屋代, 英樹, 山本, 聖一郎, 中西, 亮, 金井, 歳雄, 高野, 公徳, 中川, 基人, 藤井, 琢
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2018
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.79.431

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Summary:症例は73歳,男性.胸腹部大動脈瘤に対しステントグラフト内挿術を施行され,心房細動の既往があるためワルファリンカリウムを内服していた.右鼠径部の膨隆を主訴に受診し,右鼠径ヘルニアと診断され,術前ヘパリン化の後,Lichtenstein法を行った.術後1日目よりヘパリン投与を再開したところ,2日目に創部頭側皮下の腫脹が著明になり,ヘモグロビンおよび血小板の減少を認めた.造影CT検査で腹直筋鞘血腫(rectus sheath hematoma)と造影剤の漏出所見を認めた.保存的加療は困難と判断し,血管造影検査を行ったところ,右深腸骨回旋動脈からの出血所見を認め,NBCA-Lipiodolによる動脈塞栓術を行った.その後,抗凝固薬を再開したが,再出血を認めず現在術後8カ月,経過観察中である.鼠径ヘルニア術後の腹直筋鞘血腫は稀な病態ではあるが,IVRにて止血しえた極めて稀な症例を経験したので報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.79.431