胃穿孔術後の経過観察中に発見された胃異所性膵癌の1例

症例は56歳,男性.当院にて2013年10月に胃潰瘍穿孔に対して腹腔鏡下胃穿孔部縫合および大網被覆術を施行後,外来にて経過観察中であった.2014年1月より徐々に嘔気症状が悪化し,10月のCTにて幽門狭窄を伴う胃拡張を認めたため,緊急入院となった.上部消化管内視鏡では胃前庭部から幽門にかけて全周性狭窄を認め,粘膜下腫瘍様であった.バルーン拡張を繰り返すも狭窄症状の改善は得られず,血液検査ではDUPAN-2,Span-1,CA19-9の高値を認めたため,異所性膵管癌等の粘膜下腫瘍を鑑別に挙げ,手術の方針とした.手術所見としては以前の穿孔部周囲の胃や大網に白色結節を認めたが,迅速病理検査にて陰性で...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 77; no. 4; pp. 815 - 821
Main Authors 稲垣, 優, 岩垣, 博巳, 徳永, 尚之, 岩川, 和秀, 梶岡, 裕紀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2016
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.77.815

Cover

More Information
Summary:症例は56歳,男性.当院にて2013年10月に胃潰瘍穿孔に対して腹腔鏡下胃穿孔部縫合および大網被覆術を施行後,外来にて経過観察中であった.2014年1月より徐々に嘔気症状が悪化し,10月のCTにて幽門狭窄を伴う胃拡張を認めたため,緊急入院となった.上部消化管内視鏡では胃前庭部から幽門にかけて全周性狭窄を認め,粘膜下腫瘍様であった.バルーン拡張を繰り返すも狭窄症状の改善は得られず,血液検査ではDUPAN-2,Span-1,CA19-9の高値を認めたため,異所性膵管癌等の粘膜下腫瘍を鑑別に挙げ,手術の方針とした.手術所見としては以前の穿孔部周囲の胃や大網に白色結節を認めたが,迅速病理検査にて陰性であったため,幽門側胃切除およびD2郭清を施行した.病理学組織学的診断は胃異所性膵癌であった.胃穿孔症例では粘膜病変だけはなく,粘膜下病変の可能性も考慮して術後経過観察を行う必要がある.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.77.815