ドブタミンとオルプリノンの併用による新しい薬物負荷心エコー法

目的: β1刺激作用を有するドブタミン (DB) を用いた負荷心エコー法が生存心筋の検出法として注目されているが, DB用量の増加により外的心仕事量が増加し生存心筋の検出感度が低下するという問題点がある. これに対し陽性変力作用と減負荷効果を合わせもつphosphodiesteraseIII阻害剤のオルプリノン (OL) をDBと併用した負荷心エコーについて検討した.方法: 虚血性心疾患29例, 健常人4例の計33例に対し, DB2, 5, 10μg/kg/min=γとDB10γにOL2γを併用した4段階の負荷を行った. 各段階で心エコー画像により30分割した左室壁の運動を評価し, 正常収縮4...

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Published in順天堂医学 Vol. 45; no. 4; pp. 563 - 574
Main Authors 山口, 洋, 木下, 真弓, 中島, 滋夫, 須郷, 亜紀子, 島本, 透子, 杢野, 浩司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 順天堂医学会 2000
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ISSN0022-6769
2188-2134
DOI10.14789/pjmj.45.563

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Summary:目的: β1刺激作用を有するドブタミン (DB) を用いた負荷心エコー法が生存心筋の検出法として注目されているが, DB用量の増加により外的心仕事量が増加し生存心筋の検出感度が低下するという問題点がある. これに対し陽性変力作用と減負荷効果を合わせもつphosphodiesteraseIII阻害剤のオルプリノン (OL) をDBと併用した負荷心エコーについて検討した.方法: 虚血性心疾患29例, 健常人4例の計33例に対し, DB2, 5, 10μg/kg/min=γとDB10γにOL2γを併用した4段階の負荷を行った. 各段階で心エコー画像により30分割した左室壁の運動を評価し, 正常収縮4点, 低収縮3点, 重度低収縮2点, 無収縮1点にスコア化した. また, 各段階の上腕動脈圧波形から求めた収縮末期圧と一回心拍出量より外的心仕事量を算出した.結果: 負荷前より壁運動異常を認めた22人の個人ごとの平均壁運動スコアの変化は, DB10γに比べOL2γの併用によりさらに有意な増加を認めた (p=0.003). また壁運動異常を認めた全232分画の平均壁運動スコアも各段階で有意に上昇 (p<0.0001) したが, OL2γの併用によりさらに有意な増加を認めた (P<0.0001). 壁運動異常別では, DB10γからOL2γの併用においては重度低収縮分画 (p=0.03) と無収縮分画 (p<0.0001) の有意なスコアの増加を認めた. 外的心仕事量は負荷前に比べDB10γで有意に増加 (p<0.01) したが, OL2γの併用によりDB10γよりも有意に低下した (p<0.01).結論: DBにOLを追加併用した負荷心エコーで, 各個人ごとまたは全壁運動異常の平均壁運動スコアはDB単独に比べ有意な増加を示したが, 逆に外的心仕事量は有意に低下した. この結果, 低用量DBにOLの併用により生存心筋の検出感度が改善し新しい診断法として臨床応用可能と考えられた.
ISSN:0022-6769
2188-2134
DOI:10.14789/pjmj.45.563