抗凝固治療中に発症し,カプセル内視鏡で診断された小腸出血の一症例

原因不明消化管出血(obscure gastrointestinal bleeding, OGIB)とは,消化管出血のうち上・下部消化管内視鏡検査を行っても出血部位が不明であるものをいう。今回,OGIBに対して行ったカプセル内視鏡(capsule endoscopy, CE)検査とダブルバルーン内視鏡(double-balloon endoscopy, DBE)検査にて回腸出血を同定できた症例を経験した。症例は72歳,男性。アスピリン内服中であった。下血を主訴として救急外来を受診した。上・下部内視鏡検査を施行したが出血源は不明であった。アスピリンの内服を中止したが下血が続くため,18日後にCE...

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Published in日本集中治療医学会雑誌 Vol. 20; no. 1; pp. 21 - 24
Main Authors 小尾口, 邦彦, 稲見, 直子, 板垣, 成彦, 福井, 道彦, 藤原, 大輔, 中右, 雅之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本集中治療医学会 01.01.2013
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ISSN1340-7988
1882-966X
DOI10.3918/jsicm.20.21

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Summary:原因不明消化管出血(obscure gastrointestinal bleeding, OGIB)とは,消化管出血のうち上・下部消化管内視鏡検査を行っても出血部位が不明であるものをいう。今回,OGIBに対して行ったカプセル内視鏡(capsule endoscopy, CE)検査とダブルバルーン内視鏡(double-balloon endoscopy, DBE)検査にて回腸出血を同定できた症例を経験した。症例は72歳,男性。アスピリン内服中であった。下血を主訴として救急外来を受診した。上・下部内視鏡検査を施行したが出血源は不明であった。アスピリンの内服を中止したが下血が続くため,18日後にCE検査を施行し止血状態の多発性小腸潰瘍を認めた。その2日後にDBE検査で病巣の拡大を認めたため,緊急小腸切除術を施行した。病理診断は上腸間膜動脈分枝の血栓形成による虚血性腸炎であり,抗凝固薬休止との関連が示唆された。抗凝固薬の休止は血栓形成のリスクがあるので,その休薬期間を短くするためにも,OGIBには早期のCE検査を施行すべきである。
ISSN:1340-7988
1882-966X
DOI:10.3918/jsicm.20.21