腹腔鏡下に摘出した副腎クリプトコッカス症の1例

クリプトコッカス症(cryptococcosis)は日和見感染症であり,健常人に発症することは稀である.感染経路は経気道感染であり,血行性に播種し副腎に感染をきたすことは稀である.今回,基礎疾患を有さず明らかな肺病変を伴わない副腎クリプトコッカス症を経験したので報告する.症例は66歳の男性.当科初診1年半前に,当院内科で不明熱の精査目的のCTで径23mmの右副腎腫瘍を偶然発見されたが,その後の精査で非機能性と診断され経過観察となった.以後,定期的に検査を受けていたが1年半後のCT検査で径38mm大へと増大を認めたため,当科紹介となった.腹腔鏡下右副腎摘出術を施行し,病理学的検索で右副腎クリプト...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 78; no. 4; pp. 874 - 880
Main Authors 藤井, 幸治, 楠田, 司, 赤尾, 希美, 矢花, 正, 熊本, 幸司, 高橋, 幸二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2017
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.78.874

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Summary:クリプトコッカス症(cryptococcosis)は日和見感染症であり,健常人に発症することは稀である.感染経路は経気道感染であり,血行性に播種し副腎に感染をきたすことは稀である.今回,基礎疾患を有さず明らかな肺病変を伴わない副腎クリプトコッカス症を経験したので報告する.症例は66歳の男性.当科初診1年半前に,当院内科で不明熱の精査目的のCTで径23mmの右副腎腫瘍を偶然発見されたが,その後の精査で非機能性と診断され経過観察となった.以後,定期的に検査を受けていたが1年半後のCT検査で径38mm大へと増大を認めたため,当科紹介となった.腹腔鏡下右副腎摘出術を施行し,病理学的検索で右副腎クリプトコッカス感染と診断した.術後の髄液検査でクリプトコッカス髄膜炎と診断し抗菌薬による治療を開始.外来で定期的なクリプトコッカス抗体・抗原測定を行ったが,いずれの値も徐々に低下を認め,術後約1年半で抗真菌薬投与を終了した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.78.874