COVID-19 肺炎治癒後に上行大動脈瘤に対して開心術を施行した1例

症例は76歳男性.発熱,咳嗽を主訴に前医を受診した.唾液PCR検査によりCOVID-19肺炎と診断され,自宅療養中に酸素化悪化があり当院入院となった.単純CT検査でCOVID-19に特徴的な両側胸膜下優位のすりガラス影に加え,偶発的に上行大動脈瘤を指摘された.呼吸状態の悪化を認めており,COVID-19の治療を優先することとした.酸素吸入が必要であったが人工呼吸管理は要さず3週間で自宅退院となった.その後器質化肺炎にて再入院し,ステロイド加療を行った.退院後労作時呼吸困難の残存はあったが呼吸機能検査はDLCO低値を除き正常であった.COVID-19治癒後より8週間後に上行大動脈瘤に対し上行大動...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 50; no. 6; pp. 410 - 414
Main Authors 小山, 忠明, 吉田, 一史, 大橋, 啓太, 石上, 雅之助, 若見, 達人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 15.11.2021
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ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.50.410

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Summary:症例は76歳男性.発熱,咳嗽を主訴に前医を受診した.唾液PCR検査によりCOVID-19肺炎と診断され,自宅療養中に酸素化悪化があり当院入院となった.単純CT検査でCOVID-19に特徴的な両側胸膜下優位のすりガラス影に加え,偶発的に上行大動脈瘤を指摘された.呼吸状態の悪化を認めており,COVID-19の治療を優先することとした.酸素吸入が必要であったが人工呼吸管理は要さず3週間で自宅退院となった.その後器質化肺炎にて再入院し,ステロイド加療を行った.退院後労作時呼吸困難の残存はあったが呼吸機能検査はDLCO低値を除き正常であった.COVID-19治癒後より8週間後に上行大動脈瘤に対し上行大動脈人工血管置換術を行った.呼吸状態の悪化は認めず,合併症なく退院となった.COVID-19治癒後患者において予定開心術の至適時期は不明である.COVID-19治癒後8週間で開心術を行い呼吸状態の悪化なく良好な転帰を得た症例を経験したので文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.50.410