骨変形のない非復位性顎関節円板転位症例に対する二次治療の効果
われわれは骨変形のない非復位性顎関節円板転位症例に対する一次治療として「消炎鎮痛剤+開口練習」が有用であることを報告してきたが, 本治療法の無効症例に対する次のアプローチは明らかとなっていなかった。そこで今回, 「顎関節腔洗浄療法+ステロイド注入+消炎鎮痛剤+開口練習」を一次治療無効症例に施行し, 検討した。 対象は1996年11月から1998年11月までにMRIで骨変形がなく非復位性顎関節円板転位症例と診断された患者のうち, 当治療班で設定している顎関節機能障害度分類で中等度・重度の症状を片側性に有したものに一次治療として「消炎鎮痛剤+開口練習」を4週間行った後も無効であった24症例 (男性...
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Published in | Journal of the Japanese Society for the Temporomandibular Joint Vol. 13; no. 1; pp. 23 - 27 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本顎関節学会
2001
The Japanese Society for Temporomandibular Joint |
Subjects | |
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ISSN | 0915-3004 1884-4308 |
DOI | 10.11246/gakukansetsu1989.13.23 |
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Summary: | われわれは骨変形のない非復位性顎関節円板転位症例に対する一次治療として「消炎鎮痛剤+開口練習」が有用であることを報告してきたが, 本治療法の無効症例に対する次のアプローチは明らかとなっていなかった。そこで今回, 「顎関節腔洗浄療法+ステロイド注入+消炎鎮痛剤+開口練習」を一次治療無効症例に施行し, 検討した。 対象は1996年11月から1998年11月までにMRIで骨変形がなく非復位性顎関節円板転位症例と診断された患者のうち, 当治療班で設定している顎関節機能障害度分類で中等度・重度の症状を片側性に有したものに一次治療として「消炎鎮痛剤+開口練習」を4週間行った後も無効であった24症例 (男性1例, 女性23例, 平均年齢28.3歳) である。 方法は上関節腔を生理食塩水200mlで灌流洗浄後, デキサメタゾン2mgを1回注入し抜針した。治療当日より非ステロイド性消炎鎮痛剤を1日1回連日投与し, 自己開口練習を行わせた。術後12週間の経過観察を行い, 治療効果の判定をした。改善率は術後2週で29%, 4週で42%, 6週で63%, 8週および10週で71%, 12週で83%であった。 本治療法は, 骨変形のない非復位性顎関節円板転位症例に対する一次治療無効症例に対して高い改善率を示した。また, 経過観察期間については改善率の上昇が緩徐となる8週以上が必要と考えられた。 |
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ISSN: | 0915-3004 1884-4308 |
DOI: | 10.11246/gakukansetsu1989.13.23 |