習慣性顎関節脱臼に対する開口訓練と自己整復操作についての臨床的観察
習慣性顎関節脱臼とは, 下顎頭が下顎窩から逸脱し自力での復帰がきわめて困難かあるいはできなくなった状態が習慣性に生じるものである。非観血的療法として過開口制限指導などがあるが, 十分な効果が得られないことがある。本症患者には日常生活における脱臼発生の恐怖感が強く, そのため正常な顎運動を自制して咀嚼筋がこわばっているものが多いことに著者らは注目し, 過開口制限とは逆の開口訓練と自己整復操作を指導した。2002年2月から2003年10月に当科を受診した習慣性顎関節脱臼患者のうち, 触診にて関節雑音を認めなかった10例について検討した。年齢18~72歳 (平均34歳), 男性2例女性8例, 病悩期...
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Published in | Journal of the Japanese Society for the Temporomandibular Joint Vol. 17; no. 1; pp. 15 - 19 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本顎関節学会
2005
The Japanese Society for Temporomandibular Joint |
Subjects | |
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ISSN | 0915-3004 1884-4308 |
DOI | 10.11246/gakukansetsu1989.17.15 |
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Summary: | 習慣性顎関節脱臼とは, 下顎頭が下顎窩から逸脱し自力での復帰がきわめて困難かあるいはできなくなった状態が習慣性に生じるものである。非観血的療法として過開口制限指導などがあるが, 十分な効果が得られないことがある。本症患者には日常生活における脱臼発生の恐怖感が強く, そのため正常な顎運動を自制して咀嚼筋がこわばっているものが多いことに著者らは注目し, 過開口制限とは逆の開口訓練と自己整復操作を指導した。2002年2月から2003年10月に当科を受診した習慣性顎関節脱臼患者のうち, 触診にて関節雑音を認めなかった10例について検討した。年齢18~72歳 (平均34歳), 男性2例女性8例, 病悩期間10日~8年 (平均3.7年) で, 脱臼の発生頻度はさまざまであった。初診時, 自己整復操作指導後, 治療開始1か月後および最終観察時で, 脱臼の発生の有無・塚原らが報告した予測開口域に対する無痛自力最大開口域の割合・脱臼に対する恐怖感の有無・関節雑音の発生の有無の4項目を検討した。平均観察期間15.8か月 (8か月~2年4か月) であった。治療開始1か月以降には全症例において脱臼の発生を認めず, 予測開口域に対する無痛自力最大開口域の割合は初診時に比べて有意に増大した。初診時全症例で認められた脱臼に対する恐怖感は, 自己整復操作指導後にすべての症例で消失した。また観察期間中にすべての症例で, 関節雑音の発生は認められなかった。 |
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ISSN: | 0915-3004 1884-4308 |
DOI: | 10.11246/gakukansetsu1989.17.15 |