良性発作性頭位めまい症における眼振消失・再出現のメカニズム 新しい概念 “クリスタ結石症”

「緒言」BPPV患者において, 頭位変換を繰り返すと眼振が徐々に減弱する疲労現象を認めることが多い. しかし, 疲労現象とは異なり頭位変換検査中に眼振が突然消失することがある. さらに, 頭位変換すると消失した眼振が再出現することもある. この様な現象のメカニズムについては未だ不明の点が多い. われわれは以前から摘出迷路モデルを用いて半規管結石症やクプラ結石症の病態を検索してきた. 半規管結石モデルでは, 耳石塊は半規管壁に沿ってスムーズに動き, クプラ結石モデルでは耳石塊がクプラに接着して容易に遊離しなくなるなどの所見を認めた. しかし, 半規管膨大部に耳石塊が停滞する現象を認める場合があり...

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Published inEquilibrium Research Vol. 76; no. 4; pp. 277 - 285
Main Authors 大塚, 康司, 許斐, 氏元, 鈴木, 衞, 城守, 美帆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本めまい平衡医学会 01.08.2017
日本めまい平衡医学会
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ISSN0385-5716
1882-577X
DOI10.3757/jser.76.277

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Summary:「緒言」BPPV患者において, 頭位変換を繰り返すと眼振が徐々に減弱する疲労現象を認めることが多い. しかし, 疲労現象とは異なり頭位変換検査中に眼振が突然消失することがある. さらに, 頭位変換すると消失した眼振が再出現することもある. この様な現象のメカニズムについては未だ不明の点が多い. われわれは以前から摘出迷路モデルを用いて半規管結石症やクプラ結石症の病態を検索してきた. 半規管結石モデルでは, 耳石塊は半規管壁に沿ってスムーズに動き, クプラ結石モデルでは耳石塊がクプラに接着して容易に遊離しなくなるなどの所見を認めた. しかし, 半規管膨大部に耳石塊が停滞する現象を認める場合があり, これは半規管結石やクプラ結石のいずれにも分類できない. 半規管結石, クプラ結石では, 向きを変えることで耳石塊がクプラを刺激して活動電位が生じるが, 膨大部に耳石塊が停滞している状態では活動電位は生じない.
ISSN:0385-5716
1882-577X
DOI:10.3757/jser.76.277