地域在住中高齢者における骨格筋量減少リスクのスクリーニングツールとしての簡易栄養チェックシートの有用性

「I. 緒言」超高齢社会を迎えたわが国では, 加齢に伴う生理的予備能の低下に起因する健康障害の増加が懸念されており, 健康寿命の延伸や介護予防の観点からその対策が課題となっている. サルコペニアは, 加齢による骨格筋量の減少を基盤とする症候群で, 筋萎縮による筋力低下から転倒, 骨折, 身体機能障害を起こす危険性が高くなる. 高齢者における骨格筋量の減少には, 加齢のみならず, 栄養状態の悪化, 活動性の低下, 内分泌因子の変化などの多様な要因が複合的に関与するとされている. そのなかでも栄養不良は, 骨格筋に質的・量的低下をもたらす重要な危険因子である. 低栄養状態で蛋白質やアミノ酸の供給が...

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Published in日本衛生学雑誌 Vol. 77; pp. 22007 - 0
Main Authors 内海, みよ子, 寺田, 和史, 竹下, 達也, 阿部, 香織, 宮井, 信行, 有田, 幹雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本衛生学会 2022
日本衛生学会
Subjects
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ISSN0021-5082
1882-6482
DOI10.1265/jjh.22007

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Summary:「I. 緒言」超高齢社会を迎えたわが国では, 加齢に伴う生理的予備能の低下に起因する健康障害の増加が懸念されており, 健康寿命の延伸や介護予防の観点からその対策が課題となっている. サルコペニアは, 加齢による骨格筋量の減少を基盤とする症候群で, 筋萎縮による筋力低下から転倒, 骨折, 身体機能障害を起こす危険性が高くなる. 高齢者における骨格筋量の減少には, 加齢のみならず, 栄養状態の悪化, 活動性の低下, 内分泌因子の変化などの多様な要因が複合的に関与するとされている. そのなかでも栄養不良は, 骨格筋に質的・量的低下をもたらす重要な危険因子である. 低栄養状態で蛋白質やアミノ酸の供給が不足すると, 筋組織での蛋白合成が抑制される. また, 筋代謝を阻害する酸化ストレスや慢性炎症を抑制する働きを持つ抗酸化ビタミンなどの不足も骨格筋量の維持に悪影響を及ぼす. したがって, サルコペニアの発症を回避するためには栄養状態の維持・改善が不可欠になる.
ISSN:0021-5082
1882-6482
DOI:10.1265/jjh.22007