「Go to the People」の源流を訪ねて

「(一) はじめに」 「人々の中へ」の詩を最初に知ったのは1975年, 私が日本キリスト教海外医療協力会(JOCS)の奨学生としてロンドンで勉強していた時であった. ネパールから訪ねてこられた岩村昇先生が, 世界キリスト教保健委員会の委員として各国の教会が実践する保健事業を訪ねる中, フィリピンの国際農村復興学院(IIRR)に掲げてあった素晴らしい詩があると, 先生の手帳から自ら書き写して下さった. 当時私は, ロンドン大学大学院熱帯衛生学院(LSHTM)で貧困と健康の関係や社会心理学, 疫学やエビデンスに根ざす英国式公衆衛生の理論を学んでいたし, レポート書きや修士論文作りに頭が一杯であった...

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Bibliographic Details
Published in国際保健医療 Vol. 27; no. 2; pp. 111 - 117
Main Author 石川, 信克
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本国際保健医療学会 20.06.2012
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ISSN0917-6543
DOI10.11197/jaih.27.111

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Summary:「(一) はじめに」 「人々の中へ」の詩を最初に知ったのは1975年, 私が日本キリスト教海外医療協力会(JOCS)の奨学生としてロンドンで勉強していた時であった. ネパールから訪ねてこられた岩村昇先生が, 世界キリスト教保健委員会の委員として各国の教会が実践する保健事業を訪ねる中, フィリピンの国際農村復興学院(IIRR)に掲げてあった素晴らしい詩があると, 先生の手帳から自ら書き写して下さった. 当時私は, ロンドン大学大学院熱帯衛生学院(LSHTM)で貧困と健康の関係や社会心理学, 疫学やエビデンスに根ざす英国式公衆衛生の理論を学んでいたし, レポート書きや修士論文作りに頭が一杯であった. この詩に土臭いがダイナミックな地域保健のスピリットを感じたものの, 何となく聞き流していた. しかし, その後, 私のバングラデシュを含む生涯の仕事や生活の中で, 当時大学院で学んだ多くは忘れてもこの詩はいつもどこかで気になっており, ついに座右の銘となってしまった.
ISSN:0917-6543
DOI:10.11197/jaih.27.111