管状足場における間葉系幹細胞の曲率依存的動態の解析

間葉系幹細胞(MSC)は現在、細胞性医薬品としての社会実装の最も進む幹細胞の一つであるが、その特異的識別マーカーや幹細胞性維持のニッシェ条件は未確立であり、治療有効性の不安定化要因も多い。一方、MSCは骨髄や全身臓器の血管周囲に存在することが知られており、もともと血管周囲に存在する周皮細胞との類似性、および発生学的起源との関連が議論されてきた。特にMSCおよび周皮細胞は血管に巻きつくように局在していることなどが知られており、生体内での管状足場との相互作用の重要性が推察される。そこで本研究では足場曲率条件とMSCの立体形状変化がその幹細胞性に与える影響の解明を目的とした。先端に向かって細くなるよ...

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Published in生体医工学 Vol. Annual58; no. Abstract; p. 361
Main Authors 木戸秋, 悟, 藤田, 彩乃
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2020
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual58.361

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Summary:間葉系幹細胞(MSC)は現在、細胞性医薬品としての社会実装の最も進む幹細胞の一つであるが、その特異的識別マーカーや幹細胞性維持のニッシェ条件は未確立であり、治療有効性の不安定化要因も多い。一方、MSCは骨髄や全身臓器の血管周囲に存在することが知られており、もともと血管周囲に存在する周皮細胞との類似性、および発生学的起源との関連が議論されてきた。特にMSCおよび周皮細胞は血管に巻きつくように局在していることなどが知られており、生体内での管状足場との相互作用の重要性が推察される。そこで本研究では足場曲率条件とMSCの立体形状変化がその幹細胞性に与える影響の解明を目的とした。先端に向かって細くなるよう加工したガラス管(向先端曲率勾配:曲率半径変化Δ1 μm/沿長軸距離5 μm)にフィブロネクチンで表面処理を行った後にMSCを播種し、足場曲率に対するMSCの動態を観察した。管径50μm以下の領域では管の長軸方向に対しMSCの長軸は平行であり、管径50μm以上の領域ではランダムに配向していた。また、管の先端により選択的に集積する傾向がみられ、MSCには管状曲面足場における先端指向特性もしくは先端親和特性などの曲率感受性を有する可能性が示唆された。足場曲率に依存した細胞立体形状変化がMSCの機能に与える影響について報告する。
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual58.361