献血者のALT検査不合格に脂質代謝異常が及ぼす影響

【背景】日本赤十字社では,ALT検査の製品合否判定の基準を101IU/lとしているが,不合格率が年々上昇しており,肥満や脂質代謝異常との関連が示唆されている.今回,各種血清脂質を追加測定し,ALT検査不合格に影響する因子を調査した.【方法】北海道の献血者から,ALT不合格(≧101IU/l)の1,192名および合格(<101IU/l)の1,029名を抽出した.両群のBMIを算出し,血清脂質(LDL-C,small dense LDL-C(sdLDL-C))を測定した.また,ALT合否に係る因子を多変量解析により調査した.【結果】不合格群の80%がBMI 25kg/m2以上であり,合格群の28%...

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Published in日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 71; no. 4; pp. 635 - 642
Main Authors 中野 学, 生田 克哉, 坂田 秀勝, 鳥本 悦宏, 岸本 信一, 小林 悠, 飛澤 里奈, 飯田 樹里, 森下 勝哉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 25.08.2025
日本輸血・細胞治療学会
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ISSN1881-3011
1883-0625
DOI10.3925/jjtc.71.635

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Summary:【背景】日本赤十字社では,ALT検査の製品合否判定の基準を101IU/lとしているが,不合格率が年々上昇しており,肥満や脂質代謝異常との関連が示唆されている.今回,各種血清脂質を追加測定し,ALT検査不合格に影響する因子を調査した.【方法】北海道の献血者から,ALT不合格(≧101IU/l)の1,192名および合格(<101IU/l)の1,029名を抽出した.両群のBMIを算出し,血清脂質(LDL-C,small dense LDL-C(sdLDL-C))を測定した.また,ALT合否に係る因子を多変量解析により調査した.【結果】不合格群の80%がBMI 25kg/m2以上であり,合格群の28%より有意に高かった.不合格群はLDL-CとsdLDL-Cが高く,特にsdLDL-Cでは平均1.8倍の差を認めた.また,ALT検査不合格に影響する因子はBMI(≧25kg/m2)およびsdLDL-C(≧35mg/dl)であった.【結語】多変量解析により,肥満およびsdLDL-Cの増加を伴う脂質代謝異常がALT検査不合格に影響することが明らかとなった.
ISSN:1881-3011
1883-0625
DOI:10.3925/jjtc.71.635