高密度培養デバイスと3次元CNNを用いたhiPS胚様体の生産効率化

幹細胞から各種細胞への分化誘導において,形成する胚様体の大きさが,その後の分化の方向性や効率を決定づける大きな要因であることが明らかとなってきた.高い再現性で分化誘導を行うには,大量の胚様体を均一に形成することに加えて,最終的な胚様体の大きさを,早期に定量的に予測し,選別することが非常に重要である.本発表は,我々が開発してきた,大量の胚様体を一度に培養できるマイクロプレート「TASCL」を用いて,多数のhiPS胚様体の最終的な品質を,細胞播種後,数時間で予測することを目的とする.具体的には,ウェル内の細胞群が,(1)播種から24時間後に胚様体を形成するか否か,及び(2)播種72時間後の胚様体の...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in生体医工学 Vol. Annual58; no. Abstract; p. 364
Main Authors 池内, 真志, 須田, 修矢, 青山, 千裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2020
Online AccessGet full text
ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual58.364

Cover

More Information
Summary:幹細胞から各種細胞への分化誘導において,形成する胚様体の大きさが,その後の分化の方向性や効率を決定づける大きな要因であることが明らかとなってきた.高い再現性で分化誘導を行うには,大量の胚様体を均一に形成することに加えて,最終的な胚様体の大きさを,早期に定量的に予測し,選別することが非常に重要である.本発表は,我々が開発してきた,大量の胚様体を一度に培養できるマイクロプレート「TASCL」を用いて,多数のhiPS胚様体の最終的な品質を,細胞播種後,数時間で予測することを目的とする.具体的には,ウェル内の細胞群が,(1)播種から24時間後に胚様体を形成するか否か,及び(2)播種72時間後の胚様体の直径を,細胞群のタイムラプス画像を元に,三次元畳み込みニューラルネットワーク(3DCNN)を用いて予測した.その結果,播種後3時間までの画像から,テストデータに対して96.5%の精度で胚様体形成の有無の予測に成功した.加えて,播種から72時間後の平均直径158.3μmの胚様体群に対して,播種後6時間までの画像から,±7.1μmの誤差で直径の予測に成功した.本予測手法を,当研究室で開発中の,ウェル内の物質を選択回収できる流路一体型のマイクロデバイスと組み合わせることで,質の悪い細胞群を早期に除去して培養環境を整えたり,所望の大きさの胚様体を回収することで,胚様体生産の効率化が実現可能となる.
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual58.364