運動中の心室細動・労作時の反復する失神を生じた冠動脈起始異常の 2例

冠動脈起始異常は, 若年者における運動時の心臓性突然死の原因の 1つとされている. 今回, 冠動脈起始異常を伴い, それぞれ運動時の心室細動, 労作時の失神を繰り返した 2症例について検討し, 冠動脈起始異常により生じ得る心臓性突然死の病態を考察した.  症例 1 : 14歳, 男性. 1年前より運動時の胸部不快を自覚していた. サッカーの試合中に意識を消失し, 自動体外式除細動器 (AED) 施行時の心電図記録で心室細動が確認された. 冠動脈CTで左冠動脈右冠動脈洞起始が認められ, 左冠動脈主幹部はスリット状の狭窄を生じていた. 冠血行再建のため, 左冠動脈cut back, 左肺動脈再建術...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inShinzo Vol. 45; no. SUPPL.2; pp. S2_26 - S2_31
Main Authors 村田, 実, 大平, 晃司, 福永, 博, 千葉, 義郎, 會澤, 彰, 山下, 文男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2013
Japan Heart Foundation
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.45.S2_26

Cover

More Information
Summary:冠動脈起始異常は, 若年者における運動時の心臓性突然死の原因の 1つとされている. 今回, 冠動脈起始異常を伴い, それぞれ運動時の心室細動, 労作時の失神を繰り返した 2症例について検討し, 冠動脈起始異常により生じ得る心臓性突然死の病態を考察した.  症例 1 : 14歳, 男性. 1年前より運動時の胸部不快を自覚していた. サッカーの試合中に意識を消失し, 自動体外式除細動器 (AED) 施行時の心電図記録で心室細動が確認された. 冠動脈CTで左冠動脈右冠動脈洞起始が認められ, 左冠動脈主幹部はスリット状の狭窄を生じていた. 冠血行再建のため, 左冠動脈cut back, 左肺動脈再建術が施行された. さらに, 4カ月後の心臓電気生理学的検査で心室細動が誘発されたため, 植込み型除細動器 (ICD) 移植術が施行された.  症例 2 : 37歳, 男性. 1年前より, 労作中の胸部圧迫感と失神が繰り返された. head up tilt (HUT) 試験においてイソプロテレノール 2μg/分静注でST上昇と完全房室ブロックを生じ, ニトログリセリン口内噴霧の後に心電図所見は消失した. 冠動脈CTでは, 右冠動脈左冠動脈洞起始が診断された. 右冠動脈攣縮が考慮されたため, 冠拡張薬を開始し, 現在は症状なく経過している.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.45.S2_26