治療に反応せず急性増悪し死亡した膠原病関連肺動脈性肺高血圧症の1例

症例は79歳女性, 主訴は労作時息切れ. 左心不全増悪の診断で1年前に当院入院既往歴がある. 心電図は1年前と比較して, 右軸偏位の増強と新たな右室肥大所見を認めた. 胸部レントゲンでは肺うっ血は明らかでなく, 心拡大と両下肺野の透過性低下を認めた. 心エコー検査ではD shape所見を呈し, 三尖弁圧較差は77mmHgと上昇し著明な右心負荷所見を認めた. 右心カテーテル検査にて肺動脈性肺高血圧 (PAH) と診断した. 抗核抗体および抗セントロメア抗体陽性を認め, 両手指の皮膚硬化所見と合わせて強皮症に伴うPAHと診断した. エポプロステノールを含めた肺高血圧治療薬を開始するも改善なく, イ...

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Published inShinzo Vol. 46; no. SUPPL.2; pp. S2_32 - S2_37
Main Authors 安藤, 薫, 禰津, 俊介, 宮下, 武彦, 渡邉, 哲, 宮本, 卓也, 石野, 光則, 久保田, 功, 土屋, 隼人, 西山, 悟史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2014
Japan Heart Foundation
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.46.S2_32

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Summary:症例は79歳女性, 主訴は労作時息切れ. 左心不全増悪の診断で1年前に当院入院既往歴がある. 心電図は1年前と比較して, 右軸偏位の増強と新たな右室肥大所見を認めた. 胸部レントゲンでは肺うっ血は明らかでなく, 心拡大と両下肺野の透過性低下を認めた. 心エコー検査ではD shape所見を呈し, 三尖弁圧較差は77mmHgと上昇し著明な右心負荷所見を認めた. 右心カテーテル検査にて肺動脈性肺高血圧 (PAH) と診断した. 抗核抗体および抗セントロメア抗体陽性を認め, 両手指の皮膚硬化所見と合わせて強皮症に伴うPAHと診断した. エポプロステノールを含めた肺高血圧治療薬を開始するも改善なく, イレウス発症を契機に呼吸循環状態の悪化をきたし, 第62病日に急死した. 病理解剖の結果, 心臓は求心性左室肥大を呈し, 肺は著明な無気肺を呈していた. 肺細小動脈の中膜および内膜の肥厚を認め, 同時に肺静脈にも内膜の線維性肥厚と一部完全閉塞の所見あり, 肺静脈閉塞性疾患 (PVOD) の所見も呈していた. 強皮症に伴うPAHはPVODの合併等含め複雑な病態を呈し, しばしば治療抵抗性であり注意を要すると考えられる.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.46.S2_32