妊産婦の健康の重要性と緊急性

「I. スーダンで教えられたこと」NPO法人HANDSの一員として関わっている, スーダン共和国の国際協力機構(JICA)マザー・ナイル・プロジェクトで現地活動をしていたときのことだった. スーダンでは, 自宅分娩が80%, 専門職による出産介助はわずか50%といわれている. 病院から離れた農村部で, 安全な出産を担うのは, 村に住んでいる村落助産師である. セナール州では, 村落助産師の37%は自分の名前を書くこともできず, 中学校を卒業した人は11%にすぎない. プロジェクトでは, セナール州のすべての村落助産師の約600名に5日間の研修を行い, 実地の技術指導を行った. 研修最終日には,...

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Published in国際保健医療 Vol. 28; no. 2; pp. 52 - 55
Main Author 中村, 安秀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本国際保健医療学会 20.06.2013
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ISSN0917-6543
DOI10.11197/jaih.28.52

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Summary:「I. スーダンで教えられたこと」NPO法人HANDSの一員として関わっている, スーダン共和国の国際協力機構(JICA)マザー・ナイル・プロジェクトで現地活動をしていたときのことだった. スーダンでは, 自宅分娩が80%, 専門職による出産介助はわずか50%といわれている. 病院から離れた農村部で, 安全な出産を担うのは, 村に住んでいる村落助産師である. セナール州では, 村落助産師の37%は自分の名前を書くこともできず, 中学校を卒業した人は11%にすぎない. プロジェクトでは, セナール州のすべての村落助産師の約600名に5日間の研修を行い, 実地の技術指導を行った. 研修最終日には, 出産に必要な器材が詰まったキットを手渡してきた. 2012年3月, 首都ハルツームから車で6時間かかるセナール州の教育病院で, 村落助産師のファティマさんにばったりと出くわした. 「胎児の体位が異常だったので, 危ないと思っわったばかりで, 母子ともに元気. いまから, 村に帰るところなの. 」彼女は村でたった一人の医療職である.
ISSN:0917-6543
DOI:10.11197/jaih.28.52