Marshall静脈の化学的アブレーションのみで僧帽弁輪峡部のブロックライン作成に成功したPeri-mitral Atrial Tachycardiaの1例

症例は74歳男性.2015年5月に発作性心房細動,徐脈頻脈症候群に対してペースメーカー植込み術を施行,その後,僧帽弁閉鎖不全症,三尖弁閉鎖不全症,心房細動に対して僧帽弁形成術,三尖弁形成術および外科的肺静脈隔離術も施行された.退院後,持続性心房頻拍(AT)を認めるようになり,それに伴う頻脈依存性心不全を発症し入院加療を行った.今回,AT根治目的にて当院に紹介となりカテーテル心筋焼灼術を行った.AT周期は260msで,P波はV1,Ⅱ,Ⅲ,aVF誘導で陽性を呈していた.3D mappingにてActivation mapを作成すると,興奮は僧帽弁輪を反時計方向に旋回していた.また冠静脈洞遠位,近位...

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Published inShinzo Vol. 48; no. SUPPL.2; p. S2_5
Main Authors 志村, 吏左, 浅野, 充寿, 川口, 直彦, 山内, 康照, 山下, 光美, 土屋, 勇輔, 倉林, 学, 中村, 知史, 青柳, 秀史, 沖重, 薫, 鈴木, 秀俊, 後藤, 健太朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 30.12.2016
Japan Heart Foundation
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.48.S2_5

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Summary:症例は74歳男性.2015年5月に発作性心房細動,徐脈頻脈症候群に対してペースメーカー植込み術を施行,その後,僧帽弁閉鎖不全症,三尖弁閉鎖不全症,心房細動に対して僧帽弁形成術,三尖弁形成術および外科的肺静脈隔離術も施行された.退院後,持続性心房頻拍(AT)を認めるようになり,それに伴う頻脈依存性心不全を発症し入院加療を行った.今回,AT根治目的にて当院に紹介となりカテーテル心筋焼灼術を行った.AT周期は260msで,P波はV1,Ⅱ,Ⅲ,aVF誘導で陽性を呈していた.3D mappingにてActivation mapを作成すると,興奮は僧帽弁輪を反時計方向に旋回していた.また冠静脈洞遠位,近位,および僧帽弁輪前壁の3カ所においてpostpacing intervalはほぼ頻拍周期に一致し,peri-mitral ATと診断した.冠静脈洞造影でMarshall静脈を認めたためまず化学的アブレーションを施行,無水エタノールを5 ml注入中にATは停止した.化学的アブレーション終了後,僧帽弁輪峡部にてdifferential pacingを行ったところ,両方向性の峡部伝導ブロックラインがすでに完成していた.Marshall静脈への化学的アブレーションのみでperi-mitral ATの治療が完結した稀な症例であり,若干の文献的考察を含め報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.48.S2_5