小児心電図におけるST値の時系列変動と変動上限の検討:自動計測による解析

目的:小児心電図における自動計測によるST値の各誘導の時系列変動と変動上限を検討すること.方法:対象は2004年から2023年までに当院小児心臓外来を受診した患者100名.年齢は1ヵ月から12歳,検査間隔は2日から436日,ST値はST-midとした.同一患者で2回計測し,ST値の差の絶対値をST値の変動とした.結果:ST値の変動と検査間隔の間にはいずれの誘導においても有意な相関を認めなかった.1~11ヵ月群,1~3歳群,4~12歳群の3群で比較すると,ST値の変動はいずれの年齢群も小さかったが,とくに4~12歳の群が四肢誘導とV6誘導においてST値の変動が小さかった(p=0.001から0.0...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in心電図 Vol. 45; no. 2; pp. 96 - 102
Main Authors 秋元 真裕子, 高桑 康成, 布施 茂登
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本不整脈心電学会 31.07.2025
日本不整脈心電学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0285-1660
1884-2437
DOI10.5105/jse.45.96

Cover

More Information
Summary:目的:小児心電図における自動計測によるST値の各誘導の時系列変動と変動上限を検討すること.方法:対象は2004年から2023年までに当院小児心臓外来を受診した患者100名.年齢は1ヵ月から12歳,検査間隔は2日から436日,ST値はST-midとした.同一患者で2回計測し,ST値の差の絶対値をST値の変動とした.結果:ST値の変動と検査間隔の間にはいずれの誘導においても有意な相関を認めなかった.1~11ヵ月群,1~3歳群,4~12歳群の3群で比較すると,ST値の変動はいずれの年齢群も小さかったが,とくに4~12歳の群が四肢誘導とV6誘導においてST値の変動が小さかった(p=0.001から0.01).ほとんどの年齢,誘導においても,変動上限を95%タイル値とすると100μV未満であり,十分に小さかった.結語:小児においては年齢,各誘導ごとにST値の変動上限を考慮することにより,時系列によるST異常の判断が可能である.
ISSN:0285-1660
1884-2437
DOI:10.5105/jse.45.96