骨化頭血腫の乳児 2 例

分娩時に骨膜が頭蓋骨から剝離し,その間に血腫が生じる頭血腫の多くは,生後 1 週間 から自然に吸収され,月齢 3 までに消失する。しかし,1.5%の頻度で残存し,頭蓋骨が二重 化するように骨化することがある。骨化した頭血腫はしだいに吸収されることが多いとされているが,実際の症例報告は少ない。今回著者らは骨化した頭血腫が経過観察中に縮小・消失した 2 症例を経験した。頭血腫の治療法については文献上議論がある。非石灰化頭血腫は経過観察されることが多い一方,早期の穿刺吸引による骨化予防を推奨する文献もある。 骨化頭血腫に対しては,著しい頭蓋変形や二次的な頭蓋合併症を認める場合は外科的治療を要する。し...

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Published inJAPANESE JOURNAL OF HOSPITAL GENERAL MEDICINE Vol. 20; no. 6; pp. 335 - 340
Main Authors 鈴木 絢子, 森井 翔太, 阿部 祥英, 三輪 善之, 松橋 一彦, 長谷川 真, 池田 尚人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published JAPAN SOCIETY OF HOSPITAL GENERAL MEDICINE 2024
一般社団法人 日本病院総合診療医学会
Subjects
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ISSN2185-8136
2758-7878
DOI10.60227/jhgmwabun.20.6_335

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Summary:分娩時に骨膜が頭蓋骨から剝離し,その間に血腫が生じる頭血腫の多くは,生後 1 週間 から自然に吸収され,月齢 3 までに消失する。しかし,1.5%の頻度で残存し,頭蓋骨が二重 化するように骨化することがある。骨化した頭血腫はしだいに吸収されることが多いとされているが,実際の症例報告は少ない。今回著者らは骨化した頭血腫が経過観察中に縮小・消失した 2 症例を経験した。頭血腫の治療法については文献上議論がある。非石灰化頭血腫は経過観察されることが多い一方,早期の穿刺吸引による骨化予防を推奨する文献もある。 骨化頭血腫に対しては,著しい頭蓋変形や二次的な頭蓋合併症を認める場合は外科的治療を要する。しかし,今回経験した症例のように自然に吸収されて縮小・消失するものは外科的治療を要さない。よって,骨化頭血腫に対して侵襲のある外科的処置が必要かどうかは慎重に判断する必要がある。
ISSN:2185-8136
2758-7878
DOI:10.60227/jhgmwabun.20.6_335