ワークサイトヘルスプロモーション(WHP)の観点にたった産業歯科保健の取り組み : プリシードプロシードモデルに基づいた質問紙調査

1980年代産業保健の現場においてワークサイトヘルスプロモーション(WHP)が北米を中心に普及した。WHPは健康的な公共政策づくりや健康を支援する環境づくりなどをも含みヘルスプロモーションの概念に則していると考えられる。われわれはWHPの考え方を参考に一企業において歯科保健プログラムをデザインすることにした。前段階として現状把握および環境整備と健康教育プログラム策定を目的とした質問紙調査を行った。質問紙調査は社員の歯科保健の現状と歯周病に起因して生じる事柄を会社全体の問題として診断し現状分析を行うものであり,プリシードプロシードモデルに基づき開発された。対象は某製造業の本社勤務事務系社員170...

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Published inJOURNAL OF DENTAL HEALTH Vol. 48; no. 1; pp. 60 - 68
Main Authors 中村, 譲治, 西方, 寿和, 堀口, 逸子, 筒井, 昭仁, 神崎, 昌二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 口腔衛生学会 1998
Japanese Society for Oral Health
Subjects
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ISSN0023-2831
2189-7379
DOI10.5834/jdh.48.1_60

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Summary:1980年代産業保健の現場においてワークサイトヘルスプロモーション(WHP)が北米を中心に普及した。WHPは健康的な公共政策づくりや健康を支援する環境づくりなどをも含みヘルスプロモーションの概念に則していると考えられる。われわれはWHPの考え方を参考に一企業において歯科保健プログラムをデザインすることにした。前段階として現状把握および環境整備と健康教育プログラム策定を目的とした質問紙調査を行った。質問紙調査は社員の歯科保健の現状と歯周病に起因して生じる事柄を会社全体の問題として診断し現状分析を行うものであり,プリシードプロシードモデルに基づき開発された。対象は某製造業の本社勤務事務系社員170名である。その結果,以下の知見が得られた。1.歯科疾患によって会社に不利益が生じ,社員のQOL(Quality of Life)が阻害されていた。2.多くの社員に歯周病の自覚症状が認められ,口腔内状況は良好ではないと推察された。3.好ましい口腔保健行動は未だ不十分な状況であった。4.保健行動に影響を与える要因では準備因子に比べ,強化・実現因子の不十分さが明らかとなった。5.健康学習教室参加のニーズは高かった。プリシードプロシードモデルを応用して開発したこの質問紙により,歯科保健プログラムの企画立案および環境整備のための有用な情報を得ることができた。
ISSN:0023-2831
2189-7379
DOI:10.5834/jdh.48.1_60