在宅筋萎縮性側索硬化症患者の介護負担感に関する研究

目的:ALS患者は病状の進行に伴い寝たきりとなり,人工呼吸器,経管栄養が適用となる.在宅療養には,高度な介護技術が長期間にわたり必要となるため,介護者となる家族の負担は大きい.しかし,これまでの介護負担感の研究は要介護高齢者が中心であり,ALS患者の介護負担感についてはほとんど報告がされていない.そこで本研究では,在宅ALS患者の介護者の介護負担感を測定し,患者の特徴,介護者の特徴,ソーシャルサポート資源と介護負担感との関連性を明らかにすることを目的とした.方法:在宅ALS患者の介護者75名を調査対象とし,平成11年8〜11月に質問紙調査を実施した.介護負担感の測定にはZarit介護負担感尺度...

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Published in日本地域看護学会誌 Vol. 3; no. 1; pp. 38 - 45
Main Authors 齋藤, 明子, 小林, 淳子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本地域看護学会 2001
Japan Academy of Community Health Nursing
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ISSN1346-9657
2432-0803
DOI10.20746/jachn.3.1_38

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Summary:目的:ALS患者は病状の進行に伴い寝たきりとなり,人工呼吸器,経管栄養が適用となる.在宅療養には,高度な介護技術が長期間にわたり必要となるため,介護者となる家族の負担は大きい.しかし,これまでの介護負担感の研究は要介護高齢者が中心であり,ALS患者の介護負担感についてはほとんど報告がされていない.そこで本研究では,在宅ALS患者の介護者の介護負担感を測定し,患者の特徴,介護者の特徴,ソーシャルサポート資源と介護負担感との関連性を明らかにすることを目的とした.方法:在宅ALS患者の介護者75名を調査対象とし,平成11年8〜11月に質問紙調査を実施した.介護負担感の測定にはZarit介護負担感尺度日本語版を使用し,また,患者,介護者,ソーシャルサポート資源についてのALSの特徴的な要因を取り上げて尋ね,介護負担感との関連をみた.成績:有効回答数は67名(89.3%)であった.(1)介護負担感得点は平均41.2±13.5(10〜77)であった.(2)介護者の特徴はいずれも介護負担感と有意な関連性は認められなかった.(3)ALS患者の特徴のうち,在宅療養期間は介護負担感との間に負の相関が認められ,在宅療養期間が長くなるほど,介護負担感は減少する傾向にあった.(4)ソーシャルサポート資源のうち,訪問看護の利用回数,訪問看護の利用時間はそれぞれ,介護負担感との負の相関が認められた.訪問看護の利用回数が多く,利用時間か長い介護者ほど介護負担感は低い傾向が認められた.結論;以上のことから,在宅ALS患者の介護者の支援においては,訪問看護の効果が推察され,在宅療養機関を考慮した支援のあり方の必要性が示唆された.
ISSN:1346-9657
2432-0803
DOI:10.20746/jachn.3.1_38