糖尿病セルフケア能力の自己評価表の信頼性・妥当性の検討

対象者のセルフケア能力獲得過程の到達段階を把握して学習援助に役立てることを目的とするセルフケア能力獲得過程段階評価の質問紙を作成した.質問紙の作成では,地域住民が糖尿病予防を入り口にヘルスプロモーションのためのセルフケア能力を獲得していく過程に着目した.本研究では,作成した質問紙を洗練していくことを目的に,その信頼性と妥当性について検討した.健診結果で糖尿病あるいはその疑いがあると判定された206名を対象に,質問紙を用いて,構成概念妥当性,基準関連妥当性,内的整合性を調べた.因子分析を用いて,質問紙を,〈食事・運動の改善点と解決策〉〈実行と効果の確認・修正〉〈周囲への働きかけ〉〈関心〉〈休養の...

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Published in日本地域看護学会誌 Vol. 8; no. 2; pp. 21 - 27
Main Author 滝澤, 寛子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本地域看護学会 2006
Japan Academy of Community Health Nursing
Subjects
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ISSN1346-9657
2432-0803
DOI10.20746/jachn.8.2_21

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Summary:対象者のセルフケア能力獲得過程の到達段階を把握して学習援助に役立てることを目的とするセルフケア能力獲得過程段階評価の質問紙を作成した.質問紙の作成では,地域住民が糖尿病予防を入り口にヘルスプロモーションのためのセルフケア能力を獲得していく過程に着目した.本研究では,作成した質問紙を洗練していくことを目的に,その信頼性と妥当性について検討した.健診結果で糖尿病あるいはその疑いがあると判定された206名を対象に,質問紙を用いて,構成概念妥当性,基準関連妥当性,内的整合性を調べた.因子分析を用いて,質問紙を,〈食事・運動の改善点と解決策〉〈実行と効果の確認・修正〉〈周囲への働きかけ〉〈関心〉〈休養の状況〉〈病態理解〉の6下位尺度33項目に洗練した.洗練した質問紙全体のCronbach係数(α)は,0.94で,内的整合性は保たれていた.洗練した質問紙によるセルフケア能力得点は,HbA_ 値との間には有意な正の弱い相関(r=0.18, p<0.05)を認め,血糖値,BMI値との間には相関が認められず(血糖値:r=-0.02, BMI値:r=-0.01),基準関連妥当性には不十分な点があったが,セルフケア能力獲得過程を捉えるものとしては活用できるのではないかと考える.今後は,縦断的調査を用いて,信頼性,妥当性の検証を行うと同時に,受講者の介入前後での変化を捉え,評価結果を学習援助につなげていく方法論を検討していくことが必要である.
ISSN:1346-9657
2432-0803
DOI:10.20746/jachn.8.2_21