Amikacin点滴静注の臨床的研究

今日広く使用されているAminoglycoside系抗生剤のGentamicin (GM), Tobramycin (TOB), Dibekacin (DKB), Amikacin (AMK) などは, グラム陽性菌から陰性菌におよぶ幅広い抗菌スペクトルを有し, 少量にて抗菌性を発揮する低いMICをもち, しかも炎症組織への移行性の良好な特長を有しているが, 反面, 腎毒性と聴器および前庭神経障害があり, 蓄積性をもつとされ, 本邦では筋注による使用だけが適応とされている1-6). しかし筋注による投与は, 局所痛, 注射部位の硬結, 投与量の制限等の問題があり, さらに小児においては筋萎縮症...

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Published inThe Japanese Journal of Antibiotics Vol. 35; no. 4; pp. 897 - 908
Main Authors 沢田, 康夫, 葛西, 洋一, 橋本, 伊久雄, 斉藤, 美知子, 西代, 博之, 八反田, 薫, 三上, 二郎, 中村, 孝, 戸次, 英一, 中西, 昌美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本感染症医薬品協会 01.04.1982
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ISSN0368-2781
2186-5477
DOI10.11553/antibiotics1968b.35.897

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Summary:今日広く使用されているAminoglycoside系抗生剤のGentamicin (GM), Tobramycin (TOB), Dibekacin (DKB), Amikacin (AMK) などは, グラム陽性菌から陰性菌におよぶ幅広い抗菌スペクトルを有し, 少量にて抗菌性を発揮する低いMICをもち, しかも炎症組織への移行性の良好な特長を有しているが, 反面, 腎毒性と聴器および前庭神経障害があり, 蓄積性をもつとされ, 本邦では筋注による使用だけが適応とされている1-6). しかし筋注による投与は, 局所痛, 注射部位の硬結, 投与量の制限等の問題があり, さらに小児においては筋萎縮症の発生があるために適応に制限がある. 一方, 現在広く用いられている合成Penicillin系製剤, CePhalosPorin系抗生剤に対する耐性菌の増加が近年になり指摘され, グラム陰性桿菌群がこの大部分をしめていることから, アミノ配糖体系抗生剤の検討が認識されることとなつて来た7). 欧米諸国においては, 以前からAmino91ycoside系抗生剤の静注または点滴静注による使用が検討され, 臨床的にも使用されてきている. 本邦においても近年各種Aminoglycoside系剤の点滴静注による投与法の検討が行なわれ, とくに筋注との比較が血中濃度, 尿中排泄などについて検索され, 点滴静注の有用性が認められっつある8, 9).しかし臨床効果との関連について検討を行なうためには, 血中濃度よりも, 感染病巣である炎症組織内の抗生剤濃度の検索がより有用であると考えられ, この方面の研究が必要であろう. 著者らはDKBを用い, 筋注による炎症組織内濃度の検索を行ない10), さらに点滴静注による検討を加えてその有用性を報告し25), さらにTOBについても同様の検討を加えたが26), 今回は胆嚢炎, 腹膜炎に対してAMKによる点滴静注治療の検討を行ない, 筋注および点滴静注後の炎症組織内濃度の検索を行なつて若干の興味ある結果を得たので報告する.
ISSN:0368-2781
2186-5477
DOI:10.11553/antibiotics1968b.35.897