口唇裂・口蓋裂をもつ子どもの父親が医療者に期待する支援と実際に受けた支援

【緒言】口唇裂・口蓋裂患児の親の医療ニーズは多様であり,患児の発達段階によっても異なるため,親が期待する支援を実際に受けられているかは不明である。さらに,父親と母親との間で医療ニーズが異なることが予想されるが,父親を対象とした研究は数少ない。 【目的】父親を対象に医療者への期待と実際に受けた支援の内容を明らかにし,今後さらに充実すべき支援への示唆を得ることを目的とした。 【方法】A病院に定期的に通院する口唇形成術あるいは口蓋形成術の終了後から小学校在学中までの患児の父親235名に質問紙調査を行った。 【結果】105名(回収率44.7%)から回答を得た。父親が期待する支援として最も多かった項目は...

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Published inJournal of Japanese Cleft Palate Association Vol. 42; no. 3; pp. 187 - 193
Main Authors 熊谷, 由加里, 池, 美保, 古郷, 幹彦, 藤田, 優一, 北尾, 美香, 藤原, 千惠子, 新家, 一輝, 松中, 枝理子, 植木, 慎悟
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本口蓋裂学会 2017
Japanese Cleft Palate Association
Subjects
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ISSN0386-5185
2186-5701
DOI10.11224/cleftpalate.42.187

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Summary:【緒言】口唇裂・口蓋裂患児の親の医療ニーズは多様であり,患児の発達段階によっても異なるため,親が期待する支援を実際に受けられているかは不明である。さらに,父親と母親との間で医療ニーズが異なることが予想されるが,父親を対象とした研究は数少ない。 【目的】父親を対象に医療者への期待と実際に受けた支援の内容を明らかにし,今後さらに充実すべき支援への示唆を得ることを目的とした。 【方法】A病院に定期的に通院する口唇形成術あるいは口蓋形成術の終了後から小学校在学中までの患児の父親235名に質問紙調査を行った。 【結果】105名(回収率44.7%)から回答を得た。父親が期待する支援として最も多かった項目は「治療や手術について,親が理解しやすいように説明してくれる」,「手術後の注意や食事などの具体的な助言をしてくれる」,「手術を受けるまでの哺乳・離乳などの具体的な助言をしてくれる」であり,実際に受けた支援も同様であった。医療者への期待と実際に受けた支援の差については,ほとんどの項目で期待通りの割合が最も多かった。4割以上の父親が期待以下だと回答した項目は「園や学校に対して必要時に専門的な説明や注意事項などの連絡をしてくれる」,「医療費や医療制度の相談にのってくれる」,「親族や友人などに子どものことを尋ねられた時の対応を助言してくれる」であった。 【考察】父親は治療や手術の説明や手術前後の食事に関する助言を期待していた。これらの支援に関して,約7割の父親が期待通りもしくは期待以上だと回答したことから,父親のニーズに沿った支援が提供されていることが示唆された。しかし,園や学校と医療機関との連携,医療費や身近な人への対応に関して,4割以上の父親は受けた支援が期待以下であったと認識していた。これらに関する具体的な父親のニーズを今後さらに検討していくとともに,これらに関する支援の充実を図る必要がある。
ISSN:0386-5185
2186-5701
DOI:10.11224/cleftpalate.42.187