都市高齢者における運動開始の意図を規定する要因の検討

目的:本研究は,都市在宅高齢者の運動開始の意図の有無をどのような情報源や対人ネットワークが規定しているのかを明らかにすることを目的とした.方法:分析の対象となったのは運動習慣をもたない都市在住の高齢者235名であった.運動開始の意図の有無を従属変数とし,対人ネットワーク(対人交流頻度,友人の有無,健康活動に誘う相手・誘われる相手の有無)と健康に関する情報源を独立変数とし,性別,年齢,教育年数,歩行能力,病気の有無,外出頻度を調整変数とした二項ロジスティック回帰分析を行った.結果:本研究のサンプル全体として,運動開始の意図の有無を有意に規定している要因は健康活動に誘われる相手の有無であり,まわり...

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Published in日本老年医学会雑誌 Vol. 48; no. 4; pp. 345 - 351
Main Authors 山崎, 幸子, 矢冨, 直美, 多賀, 努, 宇良, 千秋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年医学会 2011
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ISSN0300-9173
DOI10.3143/geriatrics.48.345

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Summary:目的:本研究は,都市在宅高齢者の運動開始の意図の有無をどのような情報源や対人ネットワークが規定しているのかを明らかにすることを目的とした.方法:分析の対象となったのは運動習慣をもたない都市在住の高齢者235名であった.運動開始の意図の有無を従属変数とし,対人ネットワーク(対人交流頻度,友人の有無,健康活動に誘う相手・誘われる相手の有無)と健康に関する情報源を独立変数とし,性別,年齢,教育年数,歩行能力,病気の有無,外出頻度を調整変数とした二項ロジスティック回帰分析を行った.結果:本研究のサンプル全体として,運動開始の意図の有無を有意に規定している要因は健康活動に誘われる相手の有無であり,まわりに健康活動に誘ってくれる相手がいるということが,運動を始めたいという意図を高めていることが示された.調整変数のうち,有意に影響している変数は年齢であり,高齢であるほど運動開始の意図を持っていないという関係が有意に示された.このような加齢による影響は,前期高齢者群のみの下位分析の結果でも示された.結論:運動習慣のない高齢者が運動開始の意図をもつためには,健康活動に誘ってくれる家族や友人の存在が重要であること,中年期や前期高齢期などのできるだけ早い時期からのはたらきかけが重要であることが示唆された.
ISSN:0300-9173
DOI:10.3143/geriatrics.48.345