小児の気管切開とカニューレ管理—長期経過観察例から考える

新生児医療や小児医療の進歩に伴い,小児気管切開例は増加傾向にあり,より低年齢の症例の比率が高くなっている。小児は気管切開後数十年にわたる長期の経過観察が必要となり,その間に成長・発達する点を考慮しなければならない。身体的な発育だけではなく,運動面や精神面の発達もある。定期的にファイバースコープで気管内の観察を行い,肉芽形成の有無,カニューレのサイズ,カニューレの軸と気管の軸の関係などを確認する。成長や病状の変化に合わせて,カニューレのサイズや種類の変更も必要となってくる。長期経過中には,側弯の進行や,気管軟化による気管の閉塞が出現してくる例もあり,またこれらの変化とともに気管腕頭動脈瘻のリスク...

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Bibliographic Details
Published inPediatric Otorhinolaryngology Japan Vol. 37; no. 3; pp. 281 - 285
Main Author 仲野, 敦子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本小児耳鼻咽喉科学会 2016
Japan Society for Pediatric Otorhinolaryngology
Subjects
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ISSN0919-5858
2186-5957
DOI10.11374/shonijibi.37.281

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Summary:新生児医療や小児医療の進歩に伴い,小児気管切開例は増加傾向にあり,より低年齢の症例の比率が高くなっている。小児は気管切開後数十年にわたる長期の経過観察が必要となり,その間に成長・発達する点を考慮しなければならない。身体的な発育だけではなく,運動面や精神面の発達もある。定期的にファイバースコープで気管内の観察を行い,肉芽形成の有無,カニューレのサイズ,カニューレの軸と気管の軸の関係などを確認する。成長や病状の変化に合わせて,カニューレのサイズや種類の変更も必要となってくる。長期経過中には,側弯の進行や,気管軟化による気管の閉塞が出現してくる例もあり,またこれらの変化とともに気管腕頭動脈瘻のリスクも高まる。耳鼻咽喉科医は,気管切開の合併症を予防するために,主治医である小児科医や保護者と連携しながら小児気管切開例の経過観察を行う必要がある。
ISSN:0919-5858
2186-5957
DOI:10.11374/shonijibi.37.281