軽度認知障害からアルツハイマー病への進行予測
目的:MRIやSPECT画像データの解析とともに病識を評価することによって,健忘型軽度認知障害(MCI)からアルツハイマー病(AD)への移行が予測できるか否かを検討した.方法:健忘型MCIを約2年半から3年間追跡し,観察期間内に認知障害が進行しADと診断されたMCI/AD群21例と進行がみられなかったかあるいは多少の進行はみられても自立できADの診断には至らなかったMCI/MCI群18例を対象とし,早期AD19例と比較した.MRIはvoxel-based specific regional analysis system for Alzheimer's disease(VSRAD)を...
Saved in:
| Published in | 日本老年医学会雑誌 Vol. 47; no. 2; pp. 147 - 152 |
|---|---|
| Main Authors | , , , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本老年医学会
2010
|
| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0300-9173 |
| DOI | 10.3143/geriatrics.47.147 |
Cover
| Summary: | 目的:MRIやSPECT画像データの解析とともに病識を評価することによって,健忘型軽度認知障害(MCI)からアルツハイマー病(AD)への移行が予測できるか否かを検討した.方法:健忘型MCIを約2年半から3年間追跡し,観察期間内に認知障害が進行しADと診断されたMCI/AD群21例と進行がみられなかったかあるいは多少の進行はみられても自立できADの診断には至らなかったMCI/MCI群18例を対象とし,早期AD19例と比較した.MRIはvoxel-based specific regional analysis system for Alzheimer's disease(VSRAD)を用いて解析し海馬傍回の萎縮(z-score)を求め,SPECTは3D-stereotactic surface projectionのz-score像から大脳後方連合野の血流低下を定性的に評価し,病識は生活健忘チェックリストの(介護者-患者)間のスコア差から評価し,それぞれ観察開始時の成績を比較した.結果:MCI/MCI群と比べて,MCI/AD群はMRIによる海馬のz-scoreが高値となり,SPECTによる大脳後方連合野の血流低下が高頻度にみられ,病識は低下していた.さらに早期AD群ではこれらの検査異常はより高度または高率にみられた.各検査成績を一項目または二項目組み合わせてもMCI/AD群とMCI/MCI群の識別率はせいぜい60%~70%台であったが,MRI,SPECT,病識の各成績をすべて組み合わせると80%以上の識別率が得られた.結論:MRIやSPECTの画像所見に病識の評価を加えることによって,MCIからADへの移行をより正確に予測できると考えられた. |
|---|---|
| ISSN: | 0300-9173 |
| DOI: | 10.3143/geriatrics.47.147 |