認知症合併糖尿病における糖尿病治療実態アンケート調査

目的:認知症合併糖尿病では,糖尿病治療の目標の設定や薬物療法の最適化が重要となるが,ガイドラインは存在しない.NPO法人西東京臨床糖尿病研究会では「糖尿病と認知症研究会」を設立し,認知症合併糖尿病に対する薬物療法の検討を重ねてきた.認知症合併糖尿病での糖尿病薬物治療の実態を知るためアンケート調査を行った.方法:2010年11月に北多摩医師会・八王子医師会・立川医師会所属の医院・病院に対しアンケートを郵送した.アンケートは1)高齢者糖尿病患者に対しての糖尿病治療薬 2)認知症合併糖尿病患者に対しての糖尿病治療薬 3)経口糖尿病薬の併用 4)高齢者糖尿病患者に対してのインスリンの使用 5)認知症合...

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Published in日本老年医学会雑誌 Vol. 50; no. 2; pp. 219 - 226
Main Authors 貴田岡, 正史, 片山, 隆司, 植木, 彬夫, 調, 進一郎, 菅野, 一男, 酒井, 雅司, 松下, 隆哉, 住友, 秀孝, 中野, 忠澄, 西村, 一弘, 矢島, 賢, 重田, 真幸, 櫻井, 博文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年医学会 2013
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ISSN0300-9173
DOI10.3143/geriatrics.50.219

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Summary:目的:認知症合併糖尿病では,糖尿病治療の目標の設定や薬物療法の最適化が重要となるが,ガイドラインは存在しない.NPO法人西東京臨床糖尿病研究会では「糖尿病と認知症研究会」を設立し,認知症合併糖尿病に対する薬物療法の検討を重ねてきた.認知症合併糖尿病での糖尿病薬物治療の実態を知るためアンケート調査を行った.方法:2010年11月に北多摩医師会・八王子医師会・立川医師会所属の医院・病院に対しアンケートを郵送した.アンケートは1)高齢者糖尿病患者に対しての糖尿病治療薬 2)認知症合併糖尿病患者に対しての糖尿病治療薬 3)経口糖尿病薬の併用 4)高齢者糖尿病患者に対してのインスリンの使用 5)認知症合併糖尿病患者に対してのインスリンの使用 6)認知症合併糖尿病患者に対してのインスリンと経口糖尿病薬の併用 7)認知症合併糖尿病患者に対してのインスリンが継続困難となる要因 8)認知症合併糖尿病患者に対する治療や介護の選択で構成し,臨床現場での問題点を明らかにするため自由回答欄を設けた.結果:アンケートは1,735通発送し,178通の返信を得た.認知症合併糖尿病での適切な経口糖尿病薬は,DPP-4阻害薬が最も多く,インスリン,ビグアナイド薬は少なかった.認知症合併糖尿病でのインスリン治療は「家族の協力が得られれば継続する」が多かった.認知症合併糖尿病での経口糖尿病薬とインスリンの併用は,有用が多かった.認知症合併糖尿病でのインスリンの継続要因としては,「家族の協力」の次に「認知症の重症度」が多かった.インスリンを適切に行えない認知症合併糖尿病に対する治療では,「家族の協力」を求め,「インスリン投与回数を減らす」が多かった.結論:認知症では実現可能性を優先して糖尿病治療薬が選ばれている.その際,家族の協力や社会的資源を活用している.今回の調査結果を,新しい指針作りや啓発活動に生かすべきである.
ISSN:0300-9173
DOI:10.3143/geriatrics.50.219