高齢冠動脈疾患患者におけるメタボリックシンドロームの検討

目的:冠動脈疾患は,高齢者に多く認められる動脈硬化性疾患である.高齢冠動脈疾患患者における,メタボリックシンドロームおよび,その上流に位置するといわれるインスリン抵抗性について検討した.方法:冠動脈造影検査で冠動脈疾患の診断が確定し,入院時に糖代謝異常の有無が不明であった214例を対象とした.65歳以上の高齢者が102例,若年者が112例であった.全例に75g経口糖負荷試験を施行し,血糖およびインスリン値を測定した.その他,冠危険因子の検査を併用してメタボリックシンドロームの診断を行った.結果:肥満,脂質代謝異常は若年者に有意に多く,高血圧の頻度は高齢者に有意に高率であった.メタボリックシンド...

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Published in日本老年医学会雑誌 Vol. 45; no. 1; pp. 77 - 80
Main Authors 河野, 茂, 山佐, 稔彦, 池田, 聡司, 古賀, 聖士
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年医学会 01.01.2008
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ISSN0300-9173
DOI10.3143/geriatrics.45.77

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Summary:目的:冠動脈疾患は,高齢者に多く認められる動脈硬化性疾患である.高齢冠動脈疾患患者における,メタボリックシンドロームおよび,その上流に位置するといわれるインスリン抵抗性について検討した.方法:冠動脈造影検査で冠動脈疾患の診断が確定し,入院時に糖代謝異常の有無が不明であった214例を対象とした.65歳以上の高齢者が102例,若年者が112例であった.全例に75g経口糖負荷試験を施行し,血糖およびインスリン値を測定した.その他,冠危険因子の検査を併用してメタボリックシンドロームの診断を行った.結果:肥満,脂質代謝異常は若年者に有意に多く,高血圧の頻度は高齢者に有意に高率であった.メタボリックシンドローム,耐糖能障害の頻度は2群間に差を認めなかった.HOMA-Rよりもとめたインスリン抵抗性は若年者に高い傾向であったが,75g経口糖負荷試験のインスリン2時間値より求めた高インスリン血症では2群間の差が無くなった.結論:肥満の頻度は高齢者で低率であったが,メタボリックシンドロームは若年者と同等であった.耐糖能障害,高インスリン血症は2群ともにそれぞれ,ほぼ60%,45%に認められた.インスリン抵抗性の診断には,HOMA-Rより75g経口糖負荷試験のインスリン2時間値が有用であった.
ISSN:0300-9173
DOI:10.3143/geriatrics.45.77