当院における経皮内視鏡的胃瘻造設術施行患者の予後因子の検討

目的:高齢者終末期医療のあり方が注目されるなかで,人工的水分・栄養補給法としての経皮内視鏡的胃瘻造設術(以下PEGと略す)は大きな位置を占めるが,施行症例は経口摂取困難な高齢者が多いにもかかわらず,経口摂取可能となる症例や長期生存する例も報告されている.今回我々は,短期生存症例と長期生存症例の臨床的特長を検討する目的で,当院におけるPEG施行患者の実態を調査したので報告する.方法:対象は2007年1月から2011年6月までに当院でのPEG施行患者125名.カルテ調査,および電話による聞き取り調査をもとに,生存期間により180日以下の短期生存群(短期群)37名と181日以上生存した長期生存群(長...

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Published in日本老年医学会雑誌 Vol. 50; no. 1; pp. 96 - 103
Main Authors 佐藤, 武, 佐藤, 和典
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年医学会 01.01.2013
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ISSN0300-9173
DOI10.3143/geriatrics.50.96

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Summary:目的:高齢者終末期医療のあり方が注目されるなかで,人工的水分・栄養補給法としての経皮内視鏡的胃瘻造設術(以下PEGと略す)は大きな位置を占めるが,施行症例は経口摂取困難な高齢者が多いにもかかわらず,経口摂取可能となる症例や長期生存する例も報告されている.今回我々は,短期生存症例と長期生存症例の臨床的特長を検討する目的で,当院におけるPEG施行患者の実態を調査したので報告する.方法:対象は2007年1月から2011年6月までに当院でのPEG施行患者125名.カルテ調査,および電話による聞き取り調査をもとに,生存期間により180日以下の短期生存群(短期群)37名と181日以上生存した長期生存群(長期群)88名に分けての検討と,生きることを目的とした群(延命群)76名と食べることを目的とした群(嚥下群)49名に分けた検討の2通りで,それぞれ2群間の比較検討を行った.結果:PEG施行関連の死亡はなく,125名の生存期間中央値は603日.短期群では肺炎など内科疾患で入院加療した後のPEG施行が多く,長期群では低年齢,女性,脳神経疾患の再発や徐々にきた嚥下困難患者が多かった.両群ともPEG承諾の署名は9割が配偶者と子供により行われ,長期群ではリハビリテーション(以下リハと略す)医の介入や嚥下リハ施行割合,経口摂取が可能となった割合が多く,食べることを目的としてPEG施行された49名中24名が楽しみも含め経口摂取可能となった.結論:PEG施行後の長期生存には,リハ医の介入や嚥下リハが有効である可能性がある.
ISSN:0300-9173
DOI:10.3143/geriatrics.50.96