顎口腔機能異常患者における下顎の位置と形態, 頸椎の配列および全身姿勢の関連
目的: 本研究の目的は, 顎口腔機能異常者の下顎の位置と形態, 頸椎の配列および全身姿勢の関連の有無を明らかにすることである. 方法: 被験者として, 顎口腔機能異常と診断され, 顎顔面あるいは頸部に疼痛を認めた患者から10名 (男性2名, 女性8名, 平均年齢36.4歳) を無作為に選択した.下顎位および頸椎の配列に関しては, 咬頭嵌合位における側方頭部X線規格写真を用いて計測を行い, 全身姿勢の計測に関しては, 側方全身写真を用いた. 全被験者における下顎の位置と形態, 頸椎の配列および全身姿勢の分析には相関係数を用いた. 次に, 下顎の位置と形態の計測結果について, 主成分分析を用いて被...
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Published in | 日本補綴歯科学会雑誌 Vol. 46; no. 3; pp. 324 - 331 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
社団法人 日本補綴歯科学会
2002
日本補綴歯科学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0389-5386 1883-177X |
DOI | 10.2186/jjps.46.324 |
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Summary: | 目的: 本研究の目的は, 顎口腔機能異常者の下顎の位置と形態, 頸椎の配列および全身姿勢の関連の有無を明らかにすることである. 方法: 被験者として, 顎口腔機能異常と診断され, 顎顔面あるいは頸部に疼痛を認めた患者から10名 (男性2名, 女性8名, 平均年齢36.4歳) を無作為に選択した.下顎位および頸椎の配列に関しては, 咬頭嵌合位における側方頭部X線規格写真を用いて計測を行い, 全身姿勢の計測に関しては, 側方全身写真を用いた. 全被験者における下顎の位置と形態, 頸椎の配列および全身姿勢の分析には相関係数を用いた. 次に, 下顎の位置と形態の計測結果について, 主成分分析を用いて被験者を分類し, 各群間での頸椎の配列および姿勢の比較をWilcoxonの順位和検定にて行った. 結果: 下顎下縁平面と第二頸椎の前傾との間に正の相関が認められ, また第二頸椎から第四頸椎までの彎曲との間に負の相関が認められた. 頭部の前後的傾斜とANB角および第二頸椎の前傾との間に負の相関が認められた. 下顎が後下方に位置するものでは, 前上方に位置するものと比較して, 第二頸椎および第四頸椎の前傾が強く, 第二頸椎から第四頸椎までの配列が直線的になる傾向が認められた. 結論: 顎口腔機能異常者の下顎の位置と形態, 頸椎の配列および全身姿勢の三者がそれぞれ関連を有していることが明らかとなった. |
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ISSN: | 0389-5386 1883-177X |
DOI: | 10.2186/jjps.46.324 |