運動神経興奮性増大の観点からみたALS病態の解明および治療法の開発

広範な線維束性収縮は筋萎縮性側索硬化症(ALS)を特徴づける症状であり,神経原性筋萎縮を呈する疾患の中でALSにほぼ特異的な所見である.線維束性収縮の多くは下位運動ニューロン軸索遠位部起源であり,軸索の機能障害・興奮性増大を基盤としている.ALSの皮質および下位運動ニューロンおよび軸索の興奮性を評価した研究では,興奮性増大の所見が報告されており,これが運動神経細胞死とかかわっていると推測されている.これらの所見に基づいて,運動ニューロンおよび軸索の興奮性を抑制することにより,ALSの病態進行を抑制できるかを検討するため,メキシレチン塩酸塩をもちいた臨床試験が実施されている....

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Published in臨床神経学 Vol. 54; no. 12; pp. 1086 - 1088
Main Authors 三澤, 園子, 澁谷, 和幹, 桑原, 聡
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2014
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ISSN0009-918X
1882-0654
DOI10.5692/clinicalneurol.54.1086

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Summary:広範な線維束性収縮は筋萎縮性側索硬化症(ALS)を特徴づける症状であり,神経原性筋萎縮を呈する疾患の中でALSにほぼ特異的な所見である.線維束性収縮の多くは下位運動ニューロン軸索遠位部起源であり,軸索の機能障害・興奮性増大を基盤としている.ALSの皮質および下位運動ニューロンおよび軸索の興奮性を評価した研究では,興奮性増大の所見が報告されており,これが運動神経細胞死とかかわっていると推測されている.これらの所見に基づいて,運動ニューロンおよび軸索の興奮性を抑制することにより,ALSの病態進行を抑制できるかを検討するため,メキシレチン塩酸塩をもちいた臨床試験が実施されている.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.54.1086