脳室―腹腔シャント造設術における腹腔鏡下腹腔側チューブ留置法

クモ膜下出血, 脳出血後の水頭症患者は, 脳室一腹腔シャント (ventriculo-peritoneal shunt, 以下V-Pシャント) を造設することにより長期延命が可能となったが, しばしばシャントトラブルに遭遇する.原因には術中操作などの短期的要因と病状進行などの長期的要因があるが, 短期的要因は工夫により改善の可能性がある.腹腔鏡下手術は術後の癒着が少なく腹腔内の観察が容易であるという利点を有し, 腹腔鏡下にV-Pシャントの腹腔側チューブ留置を行うことにより, 術中操作などの短期的な要因によるシャントトラプルの減少に寄与できると考えた.当院では2005年5月以降施行されたV-Pシ...

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Published in昭和医学会雑誌 Vol. 66; no. 5; pp. 356 - 359
Main Authors 小澤, 宏史, 草野, 満夫, 林, 征洋, 佐々木, 健, 長山, 裕之, 村上, 雅彦, 有吉, 朋丈, 阿部, 琢巳, 中尾, 健太郎, 高場, 利博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学学士会 28.10.2006
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ISSN0037-4342
2185-0976
DOI10.14930/jsma1939.66.356

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Summary:クモ膜下出血, 脳出血後の水頭症患者は, 脳室一腹腔シャント (ventriculo-peritoneal shunt, 以下V-Pシャント) を造設することにより長期延命が可能となったが, しばしばシャントトラブルに遭遇する.原因には術中操作などの短期的要因と病状進行などの長期的要因があるが, 短期的要因は工夫により改善の可能性がある.腹腔鏡下手術は術後の癒着が少なく腹腔内の観察が容易であるという利点を有し, 腹腔鏡下にV-Pシャントの腹腔側チューブ留置を行うことにより, 術中操作などの短期的な要因によるシャントトラプルの減少に寄与できると考えた.当院では2005年5月以降施行されたV-Pシャント手術にて, 腹腔側チューブ留置の際に腹腔鏡下操作を導入し良好な成績を得た.現在まで8例に施行し, 合併症や後遺症は認めていない.平均手術時間は36分, 出血は全例少量であった.腹腔鏡下V-Pシャント腹腔側チューブ留置法は, 術創の縮小, 腹腔鏡下で直視下にチューブの位置確認チューブ末端からの脳脊髄液流出の確認など多くの利点を有し, シャントトラブル減少に寄与すると考えられた.
ISSN:0037-4342
2185-0976
DOI:10.14930/jsma1939.66.356