異世代ホームシェアは在宅認知症ケアに何をもたらすのか――当事者たちの関係性の変容に着目して

異世代ホームシェアは新しい共生社会実現のアプローチの一つとして世界的に取り組まれている。本研究では、日本の異世代ホームシェア事業「京都ソリデール」に参画し、学生を受け入れながら在宅認知症ケアを行う世帯において、共有する生活空間で発生する関わりを通し当事者たちの関係性がどのように変容したのかを明らかにするため、学生と認知症の親を介護する高齢者の語りを検討した。その結果、学生は介護者と認知症高齢者が夜間に衝突する場面等に介入し親密さを高めながらも、お互い近すぎない距離感を保っており、また学生と認知症高齢者は生活空間内に「いてあたり前の関係」を築いていた。本稿ではこれらの関係性を家族機能の3つの圏域...

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Published in保健医療社会学論集 Vol. 34; no. 2; pp. 39 - 49
Main Authors 森本, 誠司, 原田, 瞬, 新井, 康友, 川﨑, 一平, 佐川, 佳南枝, 永井, 邦明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本保健医療社会学会 31.01.2024
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ISSN1343-0203
2189-8642
DOI10.18918/jshms.34.2_39

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Summary:異世代ホームシェアは新しい共生社会実現のアプローチの一つとして世界的に取り組まれている。本研究では、日本の異世代ホームシェア事業「京都ソリデール」に参画し、学生を受け入れながら在宅認知症ケアを行う世帯において、共有する生活空間で発生する関わりを通し当事者たちの関係性がどのように変容したのかを明らかにするため、学生と認知症の親を介護する高齢者の語りを検討した。その結果、学生は介護者と認知症高齢者が夜間に衝突する場面等に介入し親密さを高めながらも、お互い近すぎない距離感を保っており、また学生と認知症高齢者は生活空間内に「いてあたり前の関係」を築いていた。本稿ではこれらの関係性を家族機能の3つの圏域(ケア圏・親密圏・生活圏)ごとに捉えることで、世帯内における当事者同士の関係性の変容を示し、さらに学生がケア圏において侵襲性のない重要な他者として作用することを明らかにした。
ISSN:1343-0203
2189-8642
DOI:10.18918/jshms.34.2_39