SNAPを知る―アルツハイマー病を中心とした認知症診断の歴史と現況

アルツハイマー病(AD)を中心とした認知症診断の歴史と現状を概観し,SNAP(suspected non-Alzheimer’s disease pathophysiology)について解説した。SNAPは認知機能正常例ないし軽度認知機能障害例で,βアミロイド陰性(A-)かつ神経変性,神経損傷を認める(N+),というバイオマーカーに規定された概念である。高齢者全体の20~30%を占め,A+N+の場合よりも認知症に至るリスクが低いとされる。SNAPの病理学的背景はPART(primary age-related tauopathy)をはじめ複数にわたる。タウをはじめとする新たなバイオマーカー開発...

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Published inHigher Brain Function Research Vol. 45; no. 1; pp. 11 - 19
Main Author 石原, 健司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本高次脳機能学会 31.03.2025
Japan Society for Higher Brain Function
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ISSN1348-4818
1880-6554
DOI10.2496/hbfr.45.11

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Summary:アルツハイマー病(AD)を中心とした認知症診断の歴史と現状を概観し,SNAP(suspected non-Alzheimer’s disease pathophysiology)について解説した。SNAPは認知機能正常例ないし軽度認知機能障害例で,βアミロイド陰性(A-)かつ神経変性,神経損傷を認める(N+),というバイオマーカーに規定された概念である。高齢者全体の20~30%を占め,A+N+の場合よりも認知症に至るリスクが低いとされる。SNAPの病理学的背景はPART(primary age-related tauopathy)をはじめ複数にわたる。タウをはじめとする新たなバイオマーカー開発を反映したためか,National Institute of Alzheimer’s and Ageing Associationによる2024年のADの生物学的診断基準にはSNAPという用語が登場しないが,ADの疾患修飾薬が実用化された現在,臨床現場ではSNAPの概念は有用であると思われる。
ISSN:1348-4818
1880-6554
DOI:10.2496/hbfr.45.11