高齢尿道カテーテル留置患者における臨床症状/兆候による細菌尿推定の試み
高齢の尿道カテーテル留置患者における尿路感染は高率で, 菌血症に進行する頻度も高いが, 自覚症状が少なく診断が遅れることも稀ではない. そのため, 一般には推奨されていない細菌尿の判定は, 高齢者におけるハイリスク群判別の指標になり, かつ症候性感染発症時の対応にも有用と考え検討した. 尿道カテーテルを3日以上留置した65歳以上の患者を対象に, 症候性感染移行前の細菌尿 (105CFU/mL以上) を推定するために膀胱炎症状と軽微な発熱 (≧37.5℃), 尿混濁, 尿試験紙検査を毎週1回詳細に調査し, プロスペクティブに検証した. 対象患者44名 (平均81歳) に対し計141回行った尿細菌...
Saved in:
Published in | 環境感染 Vol. 22; no. 4; pp. 266 - 271 |
---|---|
Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本環境感染学会
2007
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0918-3337 1884-2429 |
DOI | 10.11550/jsei1986.22.266 |
Cover
Summary: | 高齢の尿道カテーテル留置患者における尿路感染は高率で, 菌血症に進行する頻度も高いが, 自覚症状が少なく診断が遅れることも稀ではない. そのため, 一般には推奨されていない細菌尿の判定は, 高齢者におけるハイリスク群判別の指標になり, かつ症候性感染発症時の対応にも有用と考え検討した. 尿道カテーテルを3日以上留置した65歳以上の患者を対象に, 症候性感染移行前の細菌尿 (105CFU/mL以上) を推定するために膀胱炎症状と軽微な発熱 (≧37.5℃), 尿混濁, 尿試験紙検査を毎週1回詳細に調査し, プロスペクティブに検証した. 対象患者44名 (平均81歳) に対し計141回行った尿細菌培養では, 105CFU/mL以上の細菌尿検出を至適基準とした場合の発熱/膀胱炎症状/尿混濁のいずれかを有する場合の感度は65%で, たとえ測定者間誤差のない詳細な観察を行っても1/3の細菌尿症例を見逃していた. また発熱の感度は38℃ 以上では3%, 37.5℃以上では19%, 膀胱炎症状の感度は35%, 尿混濁は56%であった. 一方, 尿試験紙による尿白血球または亜硝酸塩陽性の感度は90%以上, 尿白血球 (+++) *注1) もしくは亜硝酸塩 (強陽性) *注2) の場合の有効度は78%であった. 高齢者では, 臨床症状/兆候だけでは細菌尿の指標としては不十分であり, 尿試験紙による定期的な評価が必要と考えた. |
---|---|
ISSN: | 0918-3337 1884-2429 |
DOI: | 10.11550/jsei1986.22.266 |