2007年4月から7月にかけてのさいたま市における麻しん流行の疫学的研究

さいたま市では, 麻しんの根絶を目標に, 正しい知識の普及啓発, ワクチン接種の完全実施, 患者の全数把握による発生動向調査を実施している. 2007年4月以降, さいたま市において, 例年にない麻しんの発生がみられた. 本研究では, 報告された麻しん患者について解析し, さいたま市における初めての麻しん流行を評価した. 第14週 (4月2日から8日) から第27週 (7月2日から8日) にかけて報告された麻しん全症例を対象とした. 把握された麻しん患者の総数は422例だった. 週ごとの報告患者数は, 第22週 (63例) をピークに漸減した. 報告患者全体でのワクチン接種の状況は, ワクチン...

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Published in環境感染 Vol. 22; no. 4; pp. 278 - 282
Main Authors 坂本, 由紀子, 高野, 真理子, 畝, 博, 嘉悦, 明彦, 宮崎, 元伸, 松本, 映里佳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本環境感染学会 2007
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ISSN0918-3337
1884-2429
DOI10.11550/jsei1986.22.278

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Summary:さいたま市では, 麻しんの根絶を目標に, 正しい知識の普及啓発, ワクチン接種の完全実施, 患者の全数把握による発生動向調査を実施している. 2007年4月以降, さいたま市において, 例年にない麻しんの発生がみられた. 本研究では, 報告された麻しん患者について解析し, さいたま市における初めての麻しん流行を評価した. 第14週 (4月2日から8日) から第27週 (7月2日から8日) にかけて報告された麻しん全症例を対象とした. 把握された麻しん患者の総数は422例だった. 週ごとの報告患者数は, 第22週 (63例) をピークに漸減した. 報告患者全体でのワクチン接種の状況は, ワクチン既接種者142人, 未接種者187人, 不明者93人だった. 年齢5歳階級でみると, 15-19歳が最も多く31%を占めた. 年齢階級別にワクチン接種の状況をみると, 生後12月未満では全症例にワクチン接種歴がなく, 15-19歳では41%にワクチン接種歴が認められなかった. 麻しんの排除にむけた対策として, 定期予防接種の徹底と対象年齢の再考が, 重要な課題と考えられた.
ISSN:0918-3337
1884-2429
DOI:10.11550/jsei1986.22.278