シートベルト損傷による小児外傷性胃穿孔の1例
症例は5歳女児. 乗用車で衝突事故にあった際, 女児は後部座席でジュニアシートを着用していた. 徐々に増悪する腹痛を主訴に受診した. 来院時CTで腹腔内free airと腸間膜脂肪織濃度上昇を認め, 外傷性小腸及び腸間膜損傷を疑い緊急手術を行った. 開腹所見では, 胃体下部大弯部に3cm程度の穿孔部を認めたため穿孔部単純縫合閉鎖, 大網被覆で手術を終了した. 経過は良好で術後8日目に独歩退院した. 外傷性消化管穿孔は小腸で発生することが多く, 単独胃破裂はまれである1). 3点式のジュニアシートでは, 体格や体勢によってはシートベルトが小児腹部前面に位置するため正面衝突の際には, 衝撃に強い...
Saved in:
Published in | Journal of the Japanese Association for the Surgery of Trauma Vol. 32; no. 3; pp. 411 - 413 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本外傷学会
20.07.2018
The Japanese Association for the Surgery of Trauma |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1340-6264 2188-0190 |
DOI | 10.11382/jjast.32.411 |
Cover
Summary: | 症例は5歳女児. 乗用車で衝突事故にあった際, 女児は後部座席でジュニアシートを着用していた. 徐々に増悪する腹痛を主訴に受診した. 来院時CTで腹腔内free airと腸間膜脂肪織濃度上昇を認め, 外傷性小腸及び腸間膜損傷を疑い緊急手術を行った. 開腹所見では, 胃体下部大弯部に3cm程度の穿孔部を認めたため穿孔部単純縫合閉鎖, 大網被覆で手術を終了した. 経過は良好で術後8日目に独歩退院した. 外傷性消化管穿孔は小腸で発生することが多く, 単独胃破裂はまれである1). 3点式のジュニアシートでは, 体格や体勢によってはシートベルトが小児腹部前面に位置するため正面衝突の際には, 衝撃に強い胸郭と骨盤ではなく腹部が圧迫される可能性がある. 小児の解剖学的特徴を理解した上での外傷初期対応と共に, 正しいシートベルト位置での着用が重要である. |
---|---|
ISSN: | 1340-6264 2188-0190 |
DOI: | 10.11382/jjast.32.411 |