咽喉頭異常感症に苓桂朮甘湯が有効であった2例

咽喉頭異常感症には半夏厚朴湯が使用されることが多い。今回,半夏厚朴湯が無効であった咽喉頭異常感症に苓桂朮甘湯が有効であった2症例を経験した。症例1は28歳女性。1年前から食後の噫気,腹満,喉のつかえ感が出現した。検査を施行されたが異常を認めず当科を受診した。半夏厚朴湯を含む方剤で加療したが,喉のつかえ感だけは改善しなかった。症例2は50歳女性。2週間前から,耳閉感,耳鳴,目の奥の痛みが出現した。耳鼻咽喉科を受診したが異常を認めず当科受診した。加味逍遙散を処方し耳閉感や耳鳴は6割ほど改善したがめまいと喉のつかえ感を訴えるようになり,半夏厚朴湯を併用したが改善しなかった。2症例とも苓桂朮甘湯に転方...

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Published in日本東洋医学雑誌 Vol. 74; no. 1; pp. 31 - 35
Main Authors 井上, 博喜, 吉永, 亮, 矢野, 博美, 牧, 俊允, 原田, 直之, 田原, 英一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本東洋医学会 2023
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ISSN0287-4857
1882-756X
DOI10.3937/kampomed.74.31

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Summary:咽喉頭異常感症には半夏厚朴湯が使用されることが多い。今回,半夏厚朴湯が無効であった咽喉頭異常感症に苓桂朮甘湯が有効であった2症例を経験した。症例1は28歳女性。1年前から食後の噫気,腹満,喉のつかえ感が出現した。検査を施行されたが異常を認めず当科を受診した。半夏厚朴湯を含む方剤で加療したが,喉のつかえ感だけは改善しなかった。症例2は50歳女性。2週間前から,耳閉感,耳鳴,目の奥の痛みが出現した。耳鼻咽喉科を受診したが異常を認めず当科受診した。加味逍遙散を処方し耳閉感や耳鳴は6割ほど改善したがめまいと喉のつかえ感を訴えるようになり,半夏厚朴湯を併用したが改善しなかった。2症例とも苓桂朮甘湯に転方したところ症状が軽快した。咽喉頭異常感症は,気虚,気鬱,気逆,瘀血,肝の失調,津液不足,水毒,胃腸障害に注目し漢方方剤を選択する必要があり,苓桂朮甘湯もひとつの候補になり得ると思われた。
ISSN:0287-4857
1882-756X
DOI:10.3937/kampomed.74.31