慢性萎縮性胆嚢炎による肝門部胆管狭窄の1例

症例は85歳,女性.黄疸を主訴として昭和61年2月3日,当科を受診した. 経皮経肝胆管造影にて肝門部胆管の不整狭窄と肝内胆管の拡張を認め,血管造影では,肝門部に不整な血管新生像を認めた.肝門部胆管癌,胆嚢癌の肝門部浸潤を疑い,経皮経肝胆道鏡検査(以下PTCS)を施行した.繰り返し行ったPTCSおよび直視下生検で悪性所見を認めず, 慢性萎縮性胆嚢炎による肝門部胆管狭窄と診断した. 昭和61年3月14日, 内瘻化してあった経皮経肝胆管ドレナージ(以下PTCD) カテーテルの先端を左肝管まで引き抜き, 外来にて狭窄部の経時的変化を観察した. 昭和61年5月22日のPTCDカテーテルからの胆管造影で,...

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Published in胆道 Vol. 1; no. 3; pp. 470 - 474
Main Authors 丹野, 俊男, 梛野, 正人, 森, 光平, 金井, 道夫, 栗木, 浩, 近藤, 成彦, 向山, 博夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 1987
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ISSN0914-0077
1883-6879
DOI10.11210/tando1987.1.3_470

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Summary:症例は85歳,女性.黄疸を主訴として昭和61年2月3日,当科を受診した. 経皮経肝胆管造影にて肝門部胆管の不整狭窄と肝内胆管の拡張を認め,血管造影では,肝門部に不整な血管新生像を認めた.肝門部胆管癌,胆嚢癌の肝門部浸潤を疑い,経皮経肝胆道鏡検査(以下PTCS)を施行した.繰り返し行ったPTCSおよび直視下生検で悪性所見を認めず, 慢性萎縮性胆嚢炎による肝門部胆管狭窄と診断した. 昭和61年3月14日, 内瘻化してあった経皮経肝胆管ドレナージ(以下PTCD) カテーテルの先端を左肝管まで引き抜き, 外来にて狭窄部の経時的変化を観察した. 昭和61年5月22日のPTCDカテーテルからの胆管造影で,肝門部胆管の再狭窄を認めなかったため,カテーテルを抜去した. 1 年4カ月後の現在, 再狭窄の徴候を認めていない. 以上,良性胆道狭窄の診断に,PTCSおよび直視下生検は有用であった.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando1987.1.3_470